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新築でも施工ミスは起きるのか?実際の事例から見る注意点とは

2026.04.11
岩井

WRITER

岩井 数行

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て2010年に株式会社テオリアハウスクリニック入社。床下調査や断熱事業での現場経験を活かし、現在は戸建て住宅インスペクション事業に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。蟻害・腐朽検査士。

「最近の新築住宅は最新技術が使われているから、不具合はない」

新築住宅の購入を検討されている方には、このように考える方も多いのではないでしょうか?
しかし、この認識は必ずしも正しいとは限りません。

実際に内覧会ホームインスペクションを専門とする立場から見ると、新築住宅であっても何らかの不具合が確認されるケースは非常に多く、軽微なものを含めると大半の物件において指摘事項が見つかります。

このコラムでは、新築住宅でよく見つかる不具合不具合ができてしまう背景、さらに買主ができる対策について、専門家の視点からわかりやすく解説します。

「新築=完璧」ではないという現実

新築住宅とは「建築後1年未満かつ未入居の住宅」と法律で定義されています。
見た目がきれいであることから不具合がないと思われがちですが、実際にはそうとは限りません

その主な原因は以下の3つです。

原因① 監督不足

建築現場では、「現場監督(施工管理者)」が品質・工程・安全を管理します。
しかし実は、1人の監督が複数の現場を同時に担当していることが一般的で、多いケースでは8棟以上を同時に管理することも。
その結果、全ての工程を細かく確認することは困難になり、写真による簡易確認現場任せの施工になり、確認漏れが発生します。
原因② 職人不足

建設業界では長年「人手不足」が課題となっています。
いわゆる3K(きつい・汚い・危険)のイメージにより、若年層の参入が減少しているためです。
その影響として、経験の浅い職人や外国人技能者などが増加しています。もちろん優秀な方も多くいらっしゃいますが、経験値や教育体制によっては施工品質にばらつきが生じることもあります。
原因③ 予算の制約

住宅価格を抑えるため、施工予算が厳しく設定されているケースも少なくありません。しっかりした住宅を建てようとしても、ベテランの職人に依頼するにはそれなりのお金がかかってしまいます。
 
その結果、「工期の短縮」「安価な人員の起用」「細部の仕上げの省略」といった効率優先の施工が行われることがあります。

本来であれば防げるはずの施工の不備でも、上記のようなことが重なることでが発生してしまう可能性があります。

見えない場所ほど不具合が起きやすい

新築住宅で特に注意すべきなのは、完成後に見えなくなる部分です。

例えば、小屋裏(屋根裏)・床下・壁の内部といった箇所は、建物完成後には仕上げ材で覆われてしまい、目視での確認ができなくなります。このような部位は、竣工検査の段階でも十分に確認されないことが多く、不具合があっても室内からは気付くことができません。

施工会社によっては、社内での検査体制を整えているケースもありますが、それでもすべての不具合を完全に把握することは難しく、見逃しが生じる可能性は否定できません。

そのため、「まったく不具合のない新築住宅」は現実的には存在しないと考えておく必要があります。

実例「新築での施工ミス・不具合」

ここまでご説明してきた通り、新築住宅であってもさまざまな要因によって不具合は発生する可能性はあります。
では実際に、どのような箇所でどのような不具合が起きているのでしょうか。

ここでは、ホームインスペクションの現場で実際に確認された不具合について、場所ごとにわかりやすく解説していきます。

屋根・高所

屋根などの高所は、足場が外されてしまうと目視での確認が難しいため、長期間不具合が放置されやすい場所です。e-LOUPEでは高所カメラを使用して確認を行っているため、その際発見した不具合について実際の写真とともにご紹介します。

  • 屋根の上の残置物
  • 屋根棟の金物不足
  • 屋根の隙間
  • 足場材などが当たり、換気口カバーやサッシが凹んでいる


屋根の上では、金物の固定不足施工時の残置物が見つかるケースが少なくありません。特に棟部分の金物が不足している場合、雨水が浸入して雨漏りにつながる恐れがあります。実際の調査でも、すでに水が浸入している事例が確認されています。

また、屋根上に工具や部材などの残置物が放置されていると、屋根材を傷つけるだけでなく、何かの拍子に落下して事故につながるリスクがあります。落下先が隣家であればトラブルに発展する可能性もあります。

屋根の不具合は目視で見つけづらい点が厄介ですね。

外構・外周り

外構や外周りでは、外壁以外にもさまざまな不具合が発生する傾向があります。

  • 外壁ひび割れ
  • シーリング不足
  • 雨樋の設置忘れ
  • 地盤陥没
  • 立水栓の不良
  • 隣家との取り合い部分


新築であっても、雨樋の未設置や設置不良によって外壁に水がかかり続ける状態になっていたり、地盤の転圧不足により2mほど地面が陥没するケースもありました。

また、外壁のひび割れシーリングの施工不良配管まわりの隙間は防水性能に直結します。わずかな隙間であっても、長期間にわたり水が浸入することで、内部の木材の腐食やカビの発生、ひいてはシロアリを呼び寄せる原因になりかねません。

バルコニー

バルコニーでは主に、防水処理の施工や安全性に関して確認します。

  • 手すりのぐらつき
  • 防水床の逆勾配
  • 笠木のパーツの付け忘れ
  • 笠木の天端にビスを打つ

手すりのぐらつきは見た目の問題にかかわらず、安全性に直結する重要な不具合です。固定ビスの締付け不足や下地の施工不良が原因となることが多く、強風時や体重がかかった際に事故につながる恐れもあります。

またバルコニーでは、防水の勾配不良手すりの固定不良といった不具合が比較的多く見られます。
床面に適切な勾配が確保されていない場合、排水口へ水が流れず、表面に水が溜まりやすくなるため注意が必要です。

水が常に溜まった状態が続くと、防水層の劣化が早まり、将来的な雨漏りの原因となる可能性があります。

サッシ・建具

サッシや建具の不具合は、日常生活の中で違和感として気付きやすい部分です。そのため、実際に開閉することで不具合がないかを確認します。

  • 扉が壁に当たる
  • ビス不足
  • サッシや建具の歪み
  • 化粧カバー不足
  • 窓開閉時の越境


サッシや建具まわりでは、ドアや窓の建付け不良開閉時の干渉ビスの固定不足枠や建具本体のわずかな歪みといった不具合が見られます。
これらは日常生活の中で「閉まりにくい」「すき間風が入る」「異音がする」といった違和感として気付くことがほとんどです。

少しの調整で改善できるケースも多い一方、下地や取付位置に原因がある場合は再施工が必要になることもあります。生活に直結する部位であるため、違和感を見逃さず、早めに是正することが重要です。

室内

室内では、日常生活の中で気付きやすい不具合が多く見られます。主に建物全体の傾きを計測したり、安全性の面を調査します。

  • 床や壁の傾き
  • 階段手すりのぐらつき
  • 備え付け設備の不備

新築では、全体的に沈み込む不同沈下は極稀に確認されることがありますが、部分的に部屋が傾いていることは散見され、家具の設置時等に影響を及ぼす可能性があります。

また、階段や手すりの不具合は安全性に直結する重要なポイントです。ぐらつきや固定不足がある場合は、怪我や転倒のリスクが高まってしまうため、しっかりと確認しておきたいですね。

設備

設備を確認する際は、「動くかどうか」だけでなく「正しく機能しているか」という観点で調査をします。

  • 水漏れ
  • 換気扇のダクト外れ
  • 換気扇の設備不良
  • 固定方法の不備
  • 仮止めだけで完全に固定されていない

新築であっても、給排水の接続不良による水漏れや、換気設備の不具合といったトラブルはよく見られます。

特に給排水設備は、わずかな接続不良でも継続的な漏水を引き起こし、床下や壁内で被害が広がるケースがあるため注意が必要です。これらは初期の段階では気付きにくく、放置するとカビの発生や建材の劣化、室内環境の悪化につながる可能性があります。

また、換気扇についても「動いている=正常」とは限らず、ダクトの接続不良や施工ミスにより、本来の排気・給気ができていないことがあります。以前調査したお宅では、内部の機会の送風方向が逆になっており、電源を入れると外の風を室内に引き込む状態のものもありました。

天井裏・小屋裏(屋根裏)

天井裏や小屋裏(屋根裏)は、日常的に目にすることがないため不具合が見逃されやすい一方で、住宅の性能や耐久性に直結する重要な部位です。

  • ダクトや配線貫通部の不燃処置不足
  • 外壁面の断熱不足
  • 雨漏り
  • 接合金物の緩み
  • 断熱材の不足や処置不足

天井裏や小屋裏(屋根裏)では、断熱材の欠損や隙間気流止めの不足配線やダクト貫通部の処理不良といった施工不備が見られることがあります。ダクトや配線貫通部の不燃処置不足については、耐火の観点から適切な塞ぎ処置が望ましいです。

また、屋根の施工不良に起因する雨水の浸入金物の緩みは、放置すると構造材の劣化や耐震性への影響が懸念されます。

床下

天井裏や小屋裏と同様に、床下も普段確認できない場所でありながら、住宅の耐久性や衛生環境に大きく関わる部位です。

  • 水漏れ
  • 断熱材の不足
  • 基礎内断熱の換気不足


床下では、断熱材の欠損や隙間配管まわりの処理不良湿気の滞留によるカビの発生といった不具合が多く見られます。特に配管の貫通部や点検口まわりは施工が複雑になりやすく、断熱材の入れ忘れや隙間が生じやすい箇所です。

また、給排水設備の接続不良によるわずかな漏水でも、床下では気付きにくく、長期間にわたって湿気が蓄積することで、木材の腐朽やカビの繁殖を引き起こす可能性があります。
実際に水漏れによって著しい含水が生じた結果、周辺がカビていた物件もありました。

特殊な事例

一般的な施工不良とは別に、現場では想定外の特殊な不具合が確認されることもあります。

  • アメリカカンザイシロアリの生息
  • 床下や小屋裏の残置物
  • 部材のはつりや破壊

例えば、施工時の管理不足により工具や資材が建物内部に残置されたままになっていたり、他業種の職人が断熱材や構造材を破損させたまま修復されていないケースなどがありました。

また、地域によっては新築であってもシロアリの侵入が確認される事例もあります。特にアメリカカンザイシロアリのように保証対象外となるシロアリの生息があった場合、発見が遅れると大きな損失につながる可能性があるため、注意が必要です。

また、各業者が自分の作業のみを優先し、他工程への影響を考慮しないことで、断熱欠損や隙間の発生、施工精度の低下といった複合的な不具合につながることもあります。例としてあげた上の画像では、水道業者が部材や断熱材を大きく削っている状態でした。

実施にあった新築でのトラブル例

ここでは、実際にあった新築住宅のトラブル事例をご紹介します。

引き渡し後に調査を行ったとある建売住宅では、複数の不具合が確認されました。施工店は「すべての不具合に対応する」と回答し、是正完了の報告書が提出されましたが、その内容は不十分なものでした。

例えば、ビス周りの止水処理は本来全面を防水材で覆うべきところ、わずかに付着させただけの状態。また、小屋裏や床下はフラッシュをたかずに撮られた暗い写真のみで、詳細確認ができない状態の報告が返ってきたそうです。

そのため、ご依頼を受け再調査を行いました。その結果、目視できる箇所を含めて不具合はかなり残っており、見えにくい部分も適切に是正されていないことが判明します。

その後の是正交渉もスムーズとは言えず、裁判を視野に入れた交渉の末、初回の調査から4か月近く経ってようやく話が動き始めました。再々調査では全体的に綺麗に是正されており、ホッとしたのを覚えています。

しかし、この物件以外にも引き渡し後の是正に関してレスポンスが非常に悪くなったり引っ越し後でなければ対応できないと言われるケース、職人の手が空き次第向かわせると実質いつになるかは明言されないままズルズルと是正を伸ばされるという状況が多く生じています。

引き渡し後のインスペクションを検討している場合は、事前に是正に関していつ頃まで対応が可能なのかを明確にしておくことが安心に繋がるかと思われます。
また、それらのやり取りに関しては、電話など口約束ではなく、必ず文書が残るメール等で保存していただくことをおすすめします。

ポイント

引渡し後のホームインスペクションでは、以下が原因でトラブルが起きやすい。

  • 引き渡し後は施工店の対応が遅くなる傾向がある
  • 是正報告が必ずしも適切とは限らない
  • 見えない箇所ほど不具合が残りやすい

引渡しに際して、トラブルを防ぐためには以下の対策がおすすめ。

  • 是世知対応の期限や内容を事前に決めておく
  • やり取りは必ずメールなどの記録に残る形で行う
  • 可能であれば、引渡し前にインスペクションを実施する

買主・施主ができる対策

現場の様子を確認する

新築住宅で不具合が生じやすいかどうかは、現場管理がうまくいっていいるかを見ることで判断することができます。
現場管理がうまく進んでいるかを簡単に判断するポイントとして、施工中の現場に足を運んでみることをおすすめします。

現場に足を運んだ際に以下の3つを確認してみましょう。

  • 現場が整理整頓されているか
  • ゴミが放置されていないか
  • 資材が適切に管理されているか

これらは一見すると基本的なことに思えるかもしれませんが、現場管理の質を強く反映する要素です。整理整頓が行き届いている現場は、工程管理や品質管理も丁寧に行われている可能性が高く、逆に雑然としている現場では施工ミスや見落としが発生しやすい傾向があります。

また床下を確認できるようであれば、床下内部が清掃されているかも見てみましょう。
室内クリーニングでは床下までは清掃しませんが、管理が行き届いている物件であれば、床を張る前に床下全体を清掃しています

ライトを照らして奥まで見た際に、ある程度きれいであれば「ちゃんと管理されていたんだな」と少し安心できますね。

ホームインスペクション(住宅診断)の活用

ホームインスペクションとは、建築の専門家(建築士など)が第三者の立場で、住宅の状態を客観的にチェックする調査のことです。
単に見た目を確認するだけでなく、建物の傾きを測ったり、屋根・小屋裏・床下といった普段は見えない場所まで確認し、依頼者へ報告をします。

新築住宅であっても、不具合がまったくない物件はありません。そのため、ホームインスペクションでは、完成後には見えなくなる部分の確認や、不具合の早期発見、そして調査内容の記録を残すことが重要な役割となります。

特に引き渡し前に実施することで、施工店に修繕の責任がある状態で話を進められるため、対応がスムーズになりやすいというメリットがあります。
一方で引き渡し後になると、対応が遅れたり、優先順位が下がるケースもあるため、できるだけ早い段階での実施をおすすめします。

まとめ

新築住宅は、決して不具合のない住宅ではありません。
今回ご紹介した指摘事項に記載していたものなども含め、住宅は人が作っているものである以上、一定の施工ミスや施工不良は生じてしまいます。

重要なのは、

  • 不具合を正しく把握すること
  • 適切に是正してもらうこと
  • トラブルを未然に防ぐこと

です。

しかし、建物の構造などは専門的な知識がないと、どこに不具合があるのかわからないことがほとんどです。
安心して住宅を購入するための1つの手段として、ホームインスペクションの活用をぜひ検討してみてください。

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