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ホームインスペクションの床下調査は必ず進入調査にするべき理由

2018.11.24

床下点検口

2018年4月に改正された宅地建物取引業法(宅建業法)により、インスペクション(建物状況調査)は一般的になりつつあります。しかし、この建物状況調査には大きな問題があります。それが何かというと、「床下や小屋裏に潜らない」ということです。そしてそれが何を意味しているかというと、「床下は点検口から覗くだけ」でいいのです。

「え、これに何の問題があるの?」と思った方。そんなあなたにぜひ知っていただきたい、インスペクションと床下・小屋裏の関係があります。この記事では”床下”に焦点を当ててご説明してきます。

大原写真 e-LOUPEインスペクター 大原

そもそもインスペクション(建物状況調査)って?

インスペクションは「建物状況調査技術者」という資格をもつ建築士が、住宅の劣化不具合等を調査し、それを報告書にまとめて依頼者に報告するものです。調査内容によっては専用機器を用いることがあるのですが、基本的に目視での診断となります。そして依頼者、特に買主様に注意していただきたい点が「点検口からの目視調査」という部分です。

インスペクションとは
点検口は何かというと、普段は床や天井で仕切られて見えない、”屋根裏(天井裏)”と”床下”の点検をするための入口です。建物状況調査(インスペクション)は基本的に床下と屋根裏について「点検口から覗く」となっています。ですから大半は「床下や屋根裏の中に入らない」、または「オプションとして高額の料金が発生する」ことが多いのです。

床下と小屋裏の調査
しかしながら、この小屋裏と床下部分は非常に問題が起きやすい場所です。その部分を点検口からの目視…。果たして充分な点検になるのか?という疑問が湧いてくるはずです。

 

床下の不具合はどんなことがある?

まずは床下ではどんな問題が起きているのかを挙げてみました。

シロアリ被害

シロアリ被害

大きな問題は「シロアリの被害」です。例えしっかりと建物が作られていたとしても、シロアリに大事な柱や土台などの部材が食べられて、木材がスカスカになってしまえば充分な強度を保てない可能性があります。床下がコンクリートでも関係なく侵入してきます。

床下でのシロアリの被害については、こちらの動画でもご紹介していますので、ぜひご覧ください。

配管からの漏水

床下の水漏れ
次に配管からの漏水です。地震の揺れによる影響、配管自体の老朽化、または施工時の人為的なミスなど理由は様々ですが床下で水漏れが起きていることがあります。給水であれば毎月の水道料金が高くなり水漏れを疑うということもありますが、それもかなりの水漏れが起きてからというものでわずかな段階では気づかないでしょう。
排水にいたっては中々気づくこともなく、疑うタイミングとしても「異臭がする」「虫が室内で見るようになった」などで実際に確認してみると、漏水もけっこう進行している段階というのが見受けられます。水漏れによる湿気で、カビや腐朽菌の発生に繋がり、衛生面も悪くなり、不快害虫の発生にも繋がります。

構造体の不具合

基礎のひび割れ
次に構造体の不具合です。こちらも、地震の影響により床下が陥没していることや、基礎のひび割れや、建物の傾きから束柱が浮いている、部材に割れが生じていることもありますし、施工時のミスで生じていると思われることもあります。

他にもまだまだ沢山ある!

断熱材の落下
他にも部屋の断熱性能に関わるもので、床下の断熱材が落下している、またはきちんと施工されていないというケースもあります。
このように床下だけでも起こりうる問題というのは、小さなことから人の命に関わるものまで存在します。

 

点検口から覗いて見られる範囲

これまで挙げた床下の問題は一部ですが、これが点検口から除いてどれだけわかるのか、実際の建物で検証してみました。

点検口から覗くだけの点検
主に床下の点検は台所の収納庫を外した所から行われます。他にも洗面所や、クローゼット内などに設けられていることもあります。
点検口から覗いて見える範囲がこちらです。

点検口から見える床下の範囲
建物は耐震性、一定の強度を保つために壁の下に基礎が設けられています。そのため、各部屋の仕切りと同じように床下も区切られており、台所から覗いて見ても他の部屋は見ることが出来ません。当然、洗面所やトイレ、浴室からの漏水は確認出来ません。

そして、こちらが実際の床下を撮影した写真です。隣の洋室に向けて撮影したものです。

実際に点検口から覗いたところ
見ていただいてわかるように、束柱や大引などの木材でその奥側は死角になります。そして、その部材自体も一面しか確認できず裏面は見ることができません。
シロアリは道を作り木材を食べてしまいます。これだけ見える範囲が限定されてしまうと、見落とす可能性があります。

シロアリの蟻道
また、シロアリ被害で厄介なのが、上記のようなシロアリの通る「道」が作られずに侵入してくるパターンがあることです。例えば玄関周辺や浴室周辺などですが、これに関しては直接打診(叩いて空洞音を確認)して食害されていないかわずかな形跡が無いかを調べる必要があります。

なにもない様に見える木材
被害を受けていた木材
写真のように何も無いような所も、叩いてみるとこのようにボロボロになっていることもあります。ここまで食べられていればわかりやすいですが、食べ始めの時はわずかな音の違いなどで疑いを持つということもあります。※実際に木材の食べられた空洞音ではなく、シロアリのアゴを鳴らすわずかな音で被害を特定したこともあります。

このように、床下は直接入って確認しないとわからないことが多く、点検口から覗いただけの報告で「安心」というには不十分ではないでしょうか。また、床下に入って見るだけではなく、隅々を確認し状態を判断する経験が必要となります。

実際に売買時の床下進入調査7000件の結果をまとめた所、5棟に1棟はシロアリ被害が確認されたという結果もあります。もしも床下の進入調査を行っていなかった場合、その多くがシロアリ被害に気づかないまま売りに出された可能性があるのです。

 

まとめ

一生に一度と言われる住宅の購入。売る側はしっかりと建物の状態を把握してから売却することで、引き渡し後のトラブル発生リスクを減らすことができます。また、買う側もインスペクションが行われた物件だとしてもすぐに「安心」せず、中身を見て床下の調査がしっかり行われたのか確認した上で購入の判断をされることをおすすめします。

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。