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ホームインスペクションの床下”進入”調査で分かること

2023.06.03
床下点検口
岩井

WRITER

岩井 数行

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て2010年に株式会社テオリアハウスクリニック入社。床下調査や断熱事業での現場経験を活かし、現在は戸建て住宅インスペクション事業に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。蟻害・腐朽検査士。

ホームインスペクションのオプション調査の代表的な項目に「床下への進入調査」があります。

この記事では「進入調査はやった方がいいの?」と疑問に思われている方のために、床下でよく見かける指摘事項や点検口から覗いての調査との違いをご紹介します。

床下調査で見かける指摘事項

配管からの漏水


意外と新築でも起こりえるのが配管からの漏水で、地震の揺れによる影響、配管自体の老朽化、または施工時の人為的なミスなど状況は様々です。

水漏れはカビや腐朽菌の発生に繋がり、衛生面も悪くなり、不快害虫の発生にも繋がってしまいますし、給水であれば毎月の水道料金が高くなり水漏れを疑うということもあります。

いずれにしてもわずかな段階で気づくのは日常生活ではほぼ不可能といっていいでしょう。

構造体の不具合

いい加減なリフォーム業者は構造上大切な基礎を勝手に削ってしまっていることも

地震の影響により床下が陥没していることや、基礎のひび割れや、建物の傾きから束柱が浮いている、部材に割れが生じていることもありますし、施工時のミスで生じていると思われることもあります。

こちらもやはり日常生活ではあまり意識されることはありませんが、万が一の地震での倒壊リスクは大きくなってしまいます。

せっかく中古で購入した住宅をフルリフォームしたのに地震で倒壊してしまった・・・という事態は起こらないようにしたいものです。

シロアリの被害

シロアリ被害

シロアリは木材の内側を食べるため、何も無さそうに見える場所も叩いてみると実はボロボロになっていることもあります。

実際に売買時の床下進入調査7000件の結果をまとめた所、5棟に1棟はシロアリ被害が確認されたという結果もあります。

シロアリは基礎の隅を進入経路にすることが多いため、被害見落としのリスクを下げるには床下全ての基礎際をチェックすることが効果的です。

断熱材の施工不良

他にも部屋の断熱性能に関わるもので、床下の断熱材が落下している、またはきちんと施工されていないというケースもあります。

これは新築でも施工の不備として起こりやすい事例です。

また、断熱材はわずかな指摘事項があるだけでも全体の性能を大きく低下させてしまう原因となると言われています。

点検口からの床下ホームインスペクション

点検口から覗くだけの点検
実際に点検口から覗いてどれだけわかるのか、実際の建物で検証してみました。

点検口から見える床下の範囲
点検口から覗いて見える範囲がこちらです。隣の洋室に向けて撮影したものです。

実際に点検口から覗いたところ
建物は耐震性、一定の強度を保つために壁の下に基礎が設けられており、各部屋の仕切りと同じように床下も区切られています。

そのことから、台所から覗いて見ても他の部屋は見ることが出来ませんし洗面所やトイレ、浴室からの漏水も当然確認できないことがわかると思います。

ここで注意しなければいけないのは、調査範囲ではない箇所で指摘事項が発生していたとしても報告書には”指摘事項なし”と記載されることです。

もし床下への進入調査を実施しないのであれば、そういったリスクは受け入れる必要があります。

自分で床下調査できる?

床下の調査についてよくいただくのが「自分でも見ることはできるか?」というお声です。

まず、新築や購入前の中古物件では売主が許可を出してくれないと思うので現実的とは言いにくいです。

また、もし仮に許可してくれたとしても事前に諸々のリスクは把握しておくべきでしょう。

配管の破損には注意が必要

たとえば事前に点検口周辺はしっかり養生しておかないと部屋が汚れてしまいますし。床下で配管などを破損させる恐れもあります。

そういえば先日自宅の床下に自分で入ったというお客様が「興味本位で床下に入ってみたはいいけど、結局何がなんだか分からずに戻ることになった」と話しておられました。

もし床下に進入するのであればやはりある程度は建物に関する専門的な知識も持っておいた方がいいと思います。

まとめ

今回は床下の調査についてお話ししてきました。(ホームインスペクション全体についてはこちらのページでも詳しく解説しています)

床下への進入調査は高額な別料金となっている場合が多いです。しかしもし「点検口から見えない部分が不安」「しっかりとした調査にしたい」と考えているのであれば実施した方がより安心を得られるのではないかと思います。

近年では標準の調査メニューとして床下や小屋裏への進入調査を実施していたり、主要なオプション調査をパックで提供しているインスペクション業者もありますのでまずは各社でどのようなサービスを提供しているのか調べてみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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