e-LOUPEの旬ネタコラム
- 新築戸建て
- アフターフォロー
新築引き渡し前に知っておきたい建物の状態


WRITER
大原 卓也
一級建築士 e-LOUPEインスペクター
住宅の購入で新築を選ぶ理由の一つとして、中古の建物に対する「不安」があります。「この建物はこの先どれだけもつのか?」「雨漏れなどの問題は起きていないか?」などなど。
現在日本では既存住宅(中古住宅)流通の活性化のため、その「不安」の払拭として、法の改正や、補助事業などの動きが見られます。例えば中古住宅の売買で契約・引き渡し前に調査を行い、その建物に不具合が無いかなどの状態がわかるようにする「インスペクション」というサービスもその一つです。では、新築の建物にはそういった不具合等の問題はまったく関係ないでしょうか?新築物件の引き渡し前にぜひ知っておきたい建物の状態を確認していきましょう。
新築の建物に不具合の問題は関係ないのか?
そもそも、新築の建物にはそういった不具合等の問題はまったく関係ないのか?というと、残念ながら新築においても「施工不良」という問題は起きています。
その度合は大小様々で、建物の構造に関わるところでの問題から、仕上げでの軽微な損傷などあります。理由もその建物ごとに異なりますが、天候の影響、人手不足などの工期が遅れての突貫工事でのミスや、計画通りに施工されていない、そもそも工事を行う人の知識・技術不足なども考えられます。
しかしながら、新築というと買い主が見える所に何かしらの不備があれば、当然問題となるため外観はパット見ではとても綺麗に仕上げられています。しかし、”死角となりやすい部分”、”塞いでしまう箇所”、”日常生活では見ない部分”にまで同じようにしっかりと施工されているかというと確証がありません。
作り手の問題と買い主の問題は違う
全ての施工店がそうではありませんが、家を建てるときは様々な業者、職人の方々が入ります。例え請け負った施工店がしっかりとしていても、実際に建物を建てるのはまた別の人。施工途中に検査が含まれるとはいえ、「作る側が感じる建物の問題」と「買い主が気になる問題」という点には認識の違いもあります。
例:建物は構造部分も仕上げ部分もしっかりと作られているが点検口が無い場合
この場合は、今は問題無くても将来的に問題が生じる場合があるでしょう。
- ”何か問題が生じていても気づくことに遅れる”
- ”将来的に確認(点検)できない”
- ”点検口を新設してみたら配管があって見ることが出来ない”
などです。であれば、最初の時点で作っておいてほしいというのが買い主さんの気持ちです。
それ以外にも
実際に新築の建物でも施工不良を見つけるケースもあります。”使用されている部材に割れが”、”部分的に処理が甘い”・・など。また、築年数もだいぶ経過した物件の調査を行っていても、「これは新築時からではないか?」という不具合が見つかったりするケースもあります。後から見つかった場合、どうにもならずに泣く泣くそのまま、または所有者の負担で直すことになるかと思います。
しかし、引き渡し前に見つけることができれば度合いにもよりますが施工店へ「修繕」といった対応などを求められる可能性は高まります。
まとめ
「新築だから大丈夫」というのは経年劣化という点で比較すれば中古住宅に比べ安心はありますが、「施工」という点では同じように絶対はありません。特に分譲住宅(建売)や、遠方で家を建てている最中まったく立ち会う事ができなかったり確認出来なかったなどであれば、住まいの安心を得るためにも引き渡し前にインスペクションをするという選択を検討してみるとより安心を得られるのではないでしょうか。
「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。