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ホームインスペクションでドローンを使うと何が変わる?

2022.12.02
ドローンでインスペクション
岩井

WRITER

岩井 数行

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て2010年に株式会社テオリアハウスクリニック入社。床下調査や断熱事業での現場経験を活かし、現在は戸建て住宅インスペクション事業に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。蟻害・腐朽検査士。

近年ホームインスペクション業界でも、ドローンを使った住宅検査の可能性が話題となっています。

商用のドローンは人の立ち入りが難しい場所の撮影などに利用されることがありますが、ホームインスペクションにおいても活用されることがあります。

今回はドローンを使用したホームインスペクションについて、詳しくご紹介していきます。

ドローンを用いての調査の様子

ドローンを使わない場合の視点


下から見上げての目視による検査を行う場合の視点です。屋根の勾配によっては、足元からの確認が難しくなります。建物と距離を置くことができればいいのですが、周辺が住宅地に密集している地域であったりすると、全体の調査が難しい場合もあります。

ドローン本体と調査用のカメラ

ドローン本体
ドローン本体です。リモコンにより操縦を行います。

ドローンのカメラ
ドローンにはカメラが取り付けられています。手元のモニターで映像が確認できるようになっており、高度や角度の微調整も可能です。

ドローンで撮影すると・・・

ドローン撮影
上空から撮影した映像です。搭載しているカメラは倍率の変更も可能で、地上からの確認が難しい仕上げ材の表面や雨樋なども確認できます。空中でホバリングをさせることで、細部までしっかりと検査を行うこともできます。

ドローンがホームインスペクションにもたらす変化

高所の調査に役立つ

通常ホームインスペクションでは屋根の調査を双眼鏡による目視で行いますが、その全てを確認することができず部分的な検査となってしまうケースがよくあります。

ドローンに搭載されている撮影用のカメラを利用すれば、近くからの確認が難しい高所の屋根や外壁などの検査を行うことができます。

危険が伴うリスクが少ない

足場を組んで直接屋根に登っての調査は、高所での作業であるためどうしても転落等のリスクが伴います。ドローンを操縦しての調査は、実施者の安全を確保した上で行うことができます。

作業にかかる工程を少なくできる

屋根の調査に足場を使用すると、準備や片づけが大掛かりになり、目視での検査に比べてご依頼主も時間と手間を余分に掛けることになってしまいます。

ドローンであればリモコンを使った操縦で簡単に調査ができるので、作業にかかる工程も少なくて済みます。

調査結果が保存できる

双眼鏡と異なり、ドローンは調査の様子を写真や動画などのデータとして残すことができます。

その場で調査内容について映像を交えながらの説明を受ける事ができる場合が多いので、調査結果に対してより信頼性を持つことができるでしょう。

自分でもできる

一般の方で屋根まで届く梯子や足場を持っていて、高所での作業に慣れているという方は、まずいらっしゃらないでしょう。

ただ、ドローン自体は業務用の物でなくてトイドローンと呼ばれるようなホビー用のドローンをお持ちの方も珍しくは無いでしょう。それがあればご自身で屋根面を確認して見る事も
可能です

ドローンでのホームインスペクションの注意点

ドローンを使用する際の注意点は大まかに、法律に関するものと使用上に関するものとが挙げられます。

飛行規制の地域に該当するか

ドローンはどこでも自由に飛ばせるというわけではなく、「人口集中地区の上空」で使用する場合は事前に許可を得る必要があります。

大抵の住宅は市街地に建設されますので、この地区の範囲になっている事が多いです。

事前に許可を得ておかないといざホームインスペクションを行おうとしたらドローンを飛ばせない・・・ということになりますので注意しましょう。

場所によってはそもそもドローンの使用自体が禁止となっている場合もありますので、そちらも併せて確認しておいた方がいいでしょう。

また、許可を得たとしても他人の敷地の上空を無断で飛行させる事はできませんので個人で使用する場合には扱いに気をつけましょう。

インスペクションに適した機体を扱っているか

ドローンと一概にいってもそのスペックは様々です。そのため、中にはホームインスペクションに適さないものも存在します。

例えば100g未満の所謂「トイドローン」は、規制がゆるいため比較的お手軽に使用ができますが機体が軽い事から風による影響を受けやすくなりますし、カメラの性能や飛行時間も不十分であるケースが多いです。

もしホームインスペクション業者が「話題性があるから」という安易な理由でドローンを採用していた場合にはそういった機体による不十分な調査となりかねませんので注意が必要です。

見極めのポイントは「操縦士の資格を持っているか」です。

ドローンのカメラ性能や飛行時間、安全性等を考慮すると、自然と取り扱うドローンもある程度大きいサイズのものになってきます。その場合、飛行に関しての規制対象となりますので、申請を行うための資格も取得しているはずです。

ドローン調査を希望するのであれば、資格を保有しているかさりげなく聞いてみましょう。

天候による使用の中止

ドローンは雨が降ると使用が難しくなります。また、強風の場合にも安全面を考慮して使用を中断する可能性が考えられます。

万が一急な天候の変化が発生した場合も考慮するべきでしょう。

もしそうなった際には別日に改めて調査を実施するのか、当日中に代替調査は行えるのか、オプション費用はどうなるのか、など事前にホームインスペクション業者に確認しておくことをおすすめします。

隣家との間隔

ホームインスペクションにおいて懸念した方がいいのは「隣家との間隔」です。

ドローンは狭い空間での飛行は不向きです。

もし隣家が建物の真横にある場合、その側面ではドローン調査を実施できません。

そうなると、せっかくオプション費用でドローン調査を行ったとしても望んでいた調査結果が得られないかも知れませんので注意が必要です。

隣家との間隔がどれくらいなのかは事前に確認しておいた方がいいでしょう。

飛行時の騒音

意外と忘れられがちなのがドローンが出す「音」です。

ドローンは飛行中にそれなりな音を出します。

建物の近くを飛行させるので、飛行中のドローンの機械音をうるさく感じてしまう人が近隣にいるかもしれません。

特に密集した住宅街では、念の為周辺の住人に対して、事前に声掛けを行った方がいいでしょう。

まとめ

ドローンによるホームインスペクションは、これまで敷居が高くなりがちであった高所の調査をより手軽に、より正確に行うことができます。

ただ、残念ながらまだドローンに関してネガティブな考えをお持ちの方も少なからずいらっしゃいます。トラブルを事前に防止するためにも周辺への声掛けは行うべきでしょう。

ドローンを用いたホームインスペクションは、オプション制となっている場合が大半ですので、もしドローン調査を検討されているようでしたら、その調査会社がドローンを取り扱っているかどうか、一度相談してみることをおすすめします。

ホームインスペクション全体の調査内容についてはこちらのページでも詳しく紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください!

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。