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民法改正で変わった「買主の権利」と「ホームインスペクションの重要性」

2023.03.14
岩井

WRITER

岩井 数行

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て2010年に株式会社テオリアハウスクリニック入社。床下調査や断熱事業での現場経験を活かし、現在は戸建て住宅インスペクション事業に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。蟻害・腐朽検査士。

こんにちは。e-LOUPEの岩井です。

2020年4月の民法改正で、それまで使われていた「隠れた」や「瑕疵」といった用語の代わりに「契約不適合」が使われるようになり、また「種類、品質又は数量」なども明記されました。

それに伴い、買主が使える「権利」の種類は大幅に増えました。

このことについて、ホームインスペクションとの関係も交えながら詳しくお話ししていきます。

民法改正で増えた買主の”権利”

これまで買主が売主に責任を追求できるのは、床下のシロアリ被害や小屋裏の雨漏り被害といった「隠れた場所の大きな欠陥」が発覚した時だけでした。

しかし2020年4月の民法改正により「契約と違う物が使われている」「数量が違う」といったことでも責任を追求できるようになりました。

買主は以前より権利の請求がしやすくなったと言えます。

契約不適合で生じる買主の「4つの権利」

万が一の不具合が発覚した際、買主は契約に応じて買主に責任を追及できる

万が一契約不適合が生じた場合、買主には”4つの請求権”が発生します。

①追完請求
商品の補修や代替物や不足分の納品などをおこない、当初の契約内容を求める権利
②代金減額請求
契約不適合なうえに追完もされない場合、代金を減額するように請求できる権利
③契約解除
契約そのものを解除できる権利
④損害賠償請求
損害賠償を請求できる権利

それまで買主が扱えたのは契約解除と損害賠償請求の2つだけだったのが、追完請求と代金減額請求が加わった形となります。

これらの権利は特約による制限がない場合、最長で10年間有効です。

権利を使うために買主が注意すべきこと

契約書をしっかり確認する

権利を請求できるかどうかのポイントは、”契約書に記載されているかどうか”です。

仮に雨漏れしている住宅であっても、契約書に「雨漏れが生じている」と記載があればそれは何ら問題ありません。

製品の仕様や数量といった物はしっかりと確認をし、変更が生じる可能性があるものに関しても、どこまでを許容するかまで確認することが望ましいです。

免責の特約を確認する

契約書の中にはそもそも「問題があっても売主は責任を負わない」としているケースもあり、その場合はたとえトラブルが起きても買主に権利は発生しません。

特に中古住宅で売主が個人である場合、保証期間は非常に短く数ヶ月〜1年ほどであるケースが大抵です。

中には全て免責(全く保証しない)といったケースもありますので良く確認しましょう。ちなみに売主が宅建業者の場合、最低でも2年間は保証がなされます。

免責に関しては、売主及び買主双方の同意があった場合にはじめて有効となりますので、しっかりと確認したのちに同意する様にしましょう。

今後ホームインスペクションが益々重要に!?

ホームインスペクションは「契約通りの建物か」を調査するためにも有効活用できる

これまで責任を追及できるのは隠れた瑕疵が発覚した場合だけだったのが、より幅広いケースで責任を追及できるようになりました。

もし「購入後にホームインスペクションを実施したら契約時には説明されていなかった指摘事項があった」となった場合には補修をお願いできる可能性も出てくることになります。

もちろんホームインスペクションは第三者の立場に基づいて公平に行うものですが、買主の「知らない」「分からない」といった契約時の不安を解消できる手段として、より有効活用できるようになったと思います。

まとめ

民法改正とそれに伴う瑕疵担保責任の変化とホームインスペクションの役割の重要性についてご紹介してきました。

万が一購入した建物に不具合が見つかった時に売り主との交渉にも関わる重要な知識ですので、覚えておいて損はないと思います。

もし「ホームインスペクションがそもそも何なのかがよくわかっていない。詳しいことを知りたい」という場合はこちらのページで詳しくご紹介していますので是非ご覧ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。