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民法改正で瑕疵担保責任に変化!今後インスペクションが益々重要に?

2020.04.25

民法改正と瑕疵担保責任について知りたい人
「改正民法で瑕疵担保責任の考え方が変わると聞いたのですが、詳しい話を教えてほしいです!」

 

このページではこのような方のために作成しました。

今回の民法改正では「瑕疵担保責任」について以下の点が改善されました。

・責任を追及できる住宅の不具合の対象や期間が広くなった
・賠償請求は信頼利益の損害だけでなく、履行利益の損害も対象となった
・損害賠償請求・契約の解除だけでなく、追完請求や代金減額請求ができるようになった

 

これらの改善により、もし購入した建物に不具合が見つかった時に売り主との交渉が柔軟に対処できるようになりました。必要となる知識ですので、覚えておいて損はないと思います。

2020年4月の改正民法では売買の際に売り主が負うべき責任の考え方が大きく見直されました。また、今回の民法改正により「ホームインスペクション」に関してもより重要度が増していくと思われます。

今回は

  • 民法改正で何が変わったのか
  • どうしてホームインスペクションが重要となってくるのか

という2つのテーマでお話しをしていきます。

 e-LOUPEスタッフ 大原

民法改正で変わったこれまでの「瑕疵担保責任」

断熱材の腐れ

これまでの民法では、「瑕疵」という表現が使われていましたが、改正後の民法では「瑕疵」という言葉が使われなくなり、代わりに「契約の内容に適合しないもの」という表現に置き換えられました。このことは住宅業界でも大きな影響を及ぼすであろうと注目を集めています。

改正前の民法で用いられていた「瑕疵」と「瑕疵担保責任」という言葉ですが

「そもそも瑕疵担保責任って何だったの?」

と思う方もおられると思いますのでまずは「瑕疵担保責任」とは何なのかについてご紹介をしていきます。

瑕疵とは「不具合」を意味します。住宅にとっての「瑕疵」とは広い意味では

・床に傷やへこみがあった
・クロスにシミが付着していた
・小屋裏で雨漏りや発生していた
・床下でシロアリの被害が発生していた
・給排水管が故障していた

といったものがありますが、民法第570条では瑕疵のなかでも

  • 床下でのシロアリの被害
  • 小屋裏での雨漏り被害

など、売り主も被害が起きている事に気づかないような見えない場所で発生している瑕疵(隠れた瑕疵)が見つかった時に売り主はその責任を負わなければいけないとしていました。

この責任のことを瑕疵担保責任といいます。

民法改正前の瑕疵担保責任で買い主が不便だった理由

講師担当の大原

これまでの瑕疵担保責任には買い主にとって以下の不便な点がありました。

・対象となる「瑕疵」の範囲が限られている
・瑕疵に対する責任の取り方がとても限定的

対象となる「瑕疵」の範囲が限られている

これまで売買契約について「瑕疵担保責任」の要件は

・隠れた瑕疵
・原始的瑕疵

言い換えると、通常の注意では発見できない売買契約の時点で売り主が気づかなかった瑕疵、ということになります。

では瑕疵担保責任とは具体的にどのような「責任の負い方」をしていたのでしょうか。売買においては

・損害賠償
・契約の目的を達することができない場合の解除

の2通りしか存在しませんでした。損害賠償を求めるか、もしくは「修理はできないけどそれを直さないとまともな生活が送れない」場合に限って契約を解除できる、というものです。

しかし実際問題そのような状況は滅多にあるものではありませんし、売り主にこれを求めること自体、とても敷居が高いことです。

また、「隠れた瑕疵」や「原始的瑕疵」とは言えないような小さな不具合では、それをそのまま受け入れるしかありません。

多くの不具合に対して買い主は「なにもせずにあきらめる」しか実質的な選択肢はありませんでした。   

民法改正で瑕疵担保責任の考え方が変わりより柔軟な対応が可能に

床のレーザーレベル使用

今回の民法改正で売り主が責任を負う条件は

「隠れた瑕疵があるとき」→「目的物の品質等が契約の内容に適合していないとき」

となりました。これにより、売り主が責任を取るべき不具合の対象は「契約時に説明されていないもの全て」となりました。

ですので、床下や小屋裏などの目に見えない場所だけでなく、私たちの生活空間で目に付く不具合についても補修などの要請に売り主が応じてくれる可能性が出てきました。

まとめると

・契約が締結した時点である瑕疵だけでなく、契約の履行時に生じた瑕疵も責任を追及することができる
・見えない瑕疵だけでなく、目に見える瑕疵でも責任を追及できる
・賠償請求は信頼利益の損害(問題ないと思っていた屋根裏で雨漏りがあり、余計な修理代がかかった、など)だけでなく履行利益の損害(不具合があることが分かったせいで、転売する予定がキャンセルされて利益が出なくなった、など)も対象となる
・損害賠償請求・契約の解除だけでなく、追完請求(補修や新しいものとの交換を請求すること)、代金減額請求ができるようになる

といったより細かい動きをすることができるようになりました。

民法改正の裏にある「責任」の考え方の変化


この章では今回の民法改正で買い主の権利の幅が広がった要因について解説していきます。少し複雑な話になりますので

「民法改正の具体的なメリットの部分だけ知れればそれでいい」

という方は読み飛ばしてもらっても大丈夫だと思います。

瑕疵担保責任について「法律的に見た時に具体的にどういう責任なのか」という点について2種類の考え方があります。1つ目を「法定責任説」、2つ目を「契約責任説」といいます。

法定責任説は「たとえ取引をした住宅に瑕疵があっても契約そのものは成立している。とはいえ売り主は買い主が損をしないようにする責任がある。瑕疵担保責任とはそういう責任だ」という考え方です。

「瑕疵があっても契約そのものは成立している」という考え方は少し難しいかも知れませんが

「買い主が買おうとしている家」はこの世に1つしかない。電化製品やカップラーメンなど、「同じ品質の製品を量産する中に1つだけ他の製品と違い不具合がある」という商品とは違い、たとえ買い主が予想していなかったような不具合があったとしてもそれはあくまでもその家の「特徴」に過ぎない。「家を渡す」という約束さえ守っていれば「契約」そのものに問題はない。

という理屈です。

でもそんな不具合があると買い主は「せっかくいい物件だと信じて買ったのに想像していた家とは違った!」となってしまいますよね。

買い主は目の前の建物がどんな家でそこに住めばどんな暮らしができるのかということをイメージして、そのイメージを「信じて」買います。これまでの瑕疵担保責任とは買い主が「瑕疵がないと信じて買ったのに瑕疵があった」となってしまわないように法律で「隠れた不具合があった時は売り主は責任を負わなければいけない」と決めた責任でした。

責任を追及できる対象が、雨漏りやシロアリの被害など「目に見えない部分の不具合」に限られていたのもこの考え方が根本にあるからです。「瑕疵があることは契約そのものは不適合ではないがその上で売り主として買い主が損害を受けないようにする責任がある」という発想が根本にあります。

それに対して契約責任説は「住宅に売買契約の時に説明がされていなかった不具合があること自体がそもそも契約に違反している。債務不履行なんだから売り主は相応の責任を取る必要がある」という考え方です。

この考え方の裏には「買い主の「家を買いたい」という言葉の裏には「(長く安心して住める)家を買いたい」という意図が隠されているに決まっている。だからそれを満たす契約でなければいけない。」という発想があります。

今回の民法改正にはこのような「法律そのものがどのような考え方で作られているか」という根本的な部分が「法定責任説」から「契約責任説」に移り変わったという事情があります。

民法改正後にも残されている課題はある

インスペクターのイメージ

今回の民法改正で買い主はこれまでの

「とても重大な問題が起きない限りは使う機会が限られている対抗手段しかない状態」から

「致命的ではないが解決しないと困るような問題を現実的に解決できる状態」

となることができました。

しかしやはり注意しないといけないこともあります。それは実際に民法通りの権利が保証されるかどうかはあくまでも「契約」次第であるということです。

改正された民法では先ほど紹介した買い主が使うことができる権利(損害賠償の請求や追完請求)については、不具合があることを知ってから1年以内に売り主に通知すれば、その権利を使うことができる期間は契約から10年、もしくは権利を使うことができることを知ってから5年と定められています。しかし実際には権利を使うことができる期間はもっと短くなるはずです。これは民法で決められている責任を負うかどうかはあくまでも「任意」で、契約書に但し書きをすれば期間を変えられるからです。

実際に改正前の民法でも瑕疵担保責任について「『隠れた瑕疵』を発見してから1年以内であれば、修理できないような致命的な損害だった場合に限り契約の解除や損害賠償の請求ができるとされ、この「1年以内に請求をできる権利」を10年間持ち続けることができるとしていましたが、住宅にとって「10年」はあまりにも長すぎる年月ですので、売り主は「責任を負うのは3か月だけ(不動産業者は最低2年)ですよ」という独自のルールを盛り込んで契約をすることが一般的となっています。

この点は民法改正後も代わりがないので、契約内容が自分に不利になりすぎていないかしっかり説明を聞いておく必要があります。

民法改正で今後ホームインスペクションが益々重要に

床下への進入調査

ここまで民法改正により買い主は具体的にどのような権利を使うことができるのか紹介してきましたが、売り主からすると契約の時は建物の状況についてより明確に説明する必要が増してきます。そのことから、「ホームインスペクション」がより重要になってくると思われます。

これまで責任を負うべき瑕疵は「隠れた瑕疵」だけであったのが、場所をとわず責任の追及をできるようになったことで、例えば

「物件を購入後にホームインスペクションを実施したら契約時には説明されていなかった瑕疵があった」

となった場合には契約不適合で売り主に補修のお願いをすることも可能になりますし、そもそも契約を交わす前であればその診断結果をもとに値引き交渉などを行うことができるとも思います。

もちろん、ホームインスペクションの目的はあくまでも調査を通して現状を正確に把握して住み始めてからのトラブルが起きてしまうことを防ぐことですが、活用の幅が広がった事は間違いないといえるでしょう。

まとめ

小屋裏への進入調査

民法改正とそれに伴う瑕疵担保責任の変化とホームインスペクションの役割の重要性についてご紹介してきました。しかしホームインスペクションという言葉を一般の方々がよく耳にするようになったのもそれほど昔の話ではありません。もしかすると

「ホームインスペクションがそもそも何なのかがよくわかっていない。詳しいことを知りたい」

と思っている方もいるかもしれません。こちらのページではホームインスペクションサービスについてご紹介していますので興味のある方は是非ご覧ください。

▼ホームインスペクション|住宅診断を依頼するときの注意点【完全版】
https://www.eloupe-teoria.com/column/homeinspection-points/

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