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リフォーム済物件のホームインスペクションで分かる建物の”裏事情”

2023.03.28
岩井

WRITER

岩井 数行

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て2010年に株式会社テオリアハウスクリニック入社。床下調査や断熱事業での現場経験を活かし、現在は戸建て住宅インスペクション事業に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。蟻害・腐朽検査士。

こんにちは。e-LOUPEの岩井です。

今回は「リフォーム済物件のホームインスペクション」についてお話ししていきます。

リフォーム済物件にホームインスペクションは必要?

リフォーム済物件のホームインスペクションには「リフォーム前はどのような状態だったか見当がつく」というメリットがあります。

建物表面を見て回っただけではどうしてもリフォーム後の状態しか確認することができません。

しかしホームインスペクションで建物の”裏側”を見て回ることで実際の状態を確かめることができます。

ケース①:綺麗なフローリング


リフォーム済物件はフローリングが綺麗にされている事が多いです。

しかし床下に潜ると色々なものが見えてきます。

シロアリ被害

構造体がシロアリ被害でボロボロなのに上から新しく床を貼っただけ・・・というケースも考えられます。

土台や柱などの構造部分に補強が施されていなければ万が一の地震での倒壊リスクが高まりますし、適切なシロアリ対策が実施されていなければ、せっかく新しくした建物がそのままシロアリに食べられてしまう可能性もあります。

基礎のはつりによる耐久力低下

リフォームで新たに配線や配管を床下で通したり作業員の動線を確保するために、基礎のコンクリートを削っている事があります。

小規模であればそれほど影響がない場合もありますが、鉄筋が露出している場合は、その部分を補強する必要があります。

いい加減なリフォーム業者が施工したことで逆に建物を痛めてしまっている・・・といった事例も決して少なくはありません。

不十分な断熱性能

見た目は最新の作りでも断熱材が建物のサイズと合っていなかったり、仕上がりが不十分だったり、そもそも断熱材がないケースもあります。

こういった物件では冬場に底冷えする寒さを感じやすい住宅になってしまいます。

特にマンションから戸建てに引っ越される方はそうでなくても「一軒家に引っ越したら家が寒い」と感じておられる方が多い印象を受けます。

寒さ対策がしっかり施されているか注意したほうがいいと思います。

ケース②キッチンの取り替え


キッチンやトイレ、洗面など真新しい設備になっているのも、新しく使い勝手が良いものにしたいという理由だけではないかもしれません。

床下の漏水

漏水などのトラブルが発生したことが原因である可能性もあります。水漏れにより木部が濡れて腐っていたり、濡れた断熱材がそのままになっていたり、もしくは撤去して無くなった状態のままであることも考えられます。

過去に漏水が起きていないか、起きていた場合は修繕を行ったのか、しっかり確認するようにしましょう。

配管の接合不備

ホームインスペクターの私としては、リフォーム工事をしたのであれば床下の設備配管がどうなっているかは気になってしまって仕方がないところです。

水廻りのリフォームは既存配管の撤去、新たな配管の設置、とどうしても作業難易度が高くなる傾向にあり、リフォーム直後の物件で床下を調査してみたら配管の継ぎ目から水が垂れていた・・・というケースもあります。

配管からの水漏れは給水にしろ排水にしろ日常生活では早期発見が非常に難しく、住み始める前に確認をしておきたいところです。

ケース③外壁や屋根を塗装で綺麗に

外壁塗装の時期やクロスの汚れだけが理由ではないかもしれません。

小屋裏の雨漏り

雨漏りが起きてしまった為急遽対応したという可能性もあります。

雨漏りの発生原因を特定し、根本的な解決がされたのであれば問題ありませんが、そういった修繕を行わずただ単に塗装をし直した、染みたクロスを張り替えた、ということであれば再び雨漏りが起きてしまう可能性があります。


また、雨漏りを放置するといずれ内装にも被害が及びますので、せっかくのリフォームが台無しになってしまう場合もあるので要注意です。

その雨漏れが直っているかどうかは詳細な調査(散水試験)が必要なケースもあります。

しかしまずは小屋裏に雨漏りのシミ跡らしき存在がないかどうかを確かめておくことがとても大切です。

天井の断熱性能が低い

床下と同様、古い物件では天井に断熱材が敷かれていなかったり、断熱材が非常に薄かったり、部分的にしか設置されていない場合があります。

床下同様、断熱性能が不足していると夏の暑さの原因となりますのでエアコンが効かずにつらい思いを感じたり、光熱費がかさんでしまうリスクがあります。

まとめ


今回はリフォーム物件に潜む指摘事項の例をご紹介してきました。

いくら見た目の雰囲気が良くてもいざホームインスペクションをしてみるとたくさんの指摘事項が見つかった・・・という物件はこれまでたくさん見てきました。

そういった不具合はやはり床下や小屋裏の見えない場所に集中しがちです。

「綺麗そうだから大丈夫」ではなく、実際に目で見て確かめることが大切ですね。

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。