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ホームインスペクションに欠かせない、プロの「道具」を紹介!

2023.03.11
鳥居

WRITER

鳥居 龍人

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て株式会社テオリアハウスクリニックに入社。前職での現場監督経験から、施工から設計まで幅広い知識と経験を持つ。現在はその経験をもとに戸建て住宅のインスペクション業務に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。

こんにちは。e-LOUPEの鳥居です。

「ホームインスペクションではどんな道具を使って調査するんですか?。また自分で何か用意した方がいいものはありますか?」

今回はこのような疑問にお答えしていきます。

これがなくては何もできない

デジカメ


デジカメはホームインスペクションにおいてもっとも大切な道具といえます。

もし内覧会で傷、汚れ、不具合などを見つけたときはスマートフォンで撮影して証拠を残しておきましょう。

報告時に仲介や施工店などが同席していれば、もし大きな不具合があった場合でもスムーズに共有できるためおすすめです。


また極稀にですが、「この程度の傷なら直さないでも気づかれないだろう」と目印のテープを自己判断で剥がしてしまう職人さんがいます。

そんな場合でも写真データが残っていればバッチリですね。

ちなみにe-LOUPEではデジカメで撮影した写真データをタブレットに転送し、調査でどのような不具合が見つかったのかをその場でお客様にお伝えしています。

屋根の調査にはこれ

高所カメラ、ドローン


ホームインスペクションは目視による検査が基本であり、屋根は庭や前面道路から見上げての確認となります。

しかし全体を確認できることは珍しく、多くの場合は不明瞭な結果しか得られません。

双眼鏡を用いる場合もありますが見える範囲そのものは目視と変わらない為、調査の精度としては微妙です。

そこで活躍するのが高所カメラです。

5mほど伸ばすことができるポールとセットで使用し、屋根の詳細な状況を確認します。


e-LOUPEで使用しているRICOHの360°カメラでは屋根だけではなく、軒先や入り組んだ複雑な形状の屋根であっても確認ができる為非常に便利です。

3階建て以上の建物ではポールが届かない場合もありますが、そういった際には自撮り棒のようにしたカメラを3階窓から撮影することによって全体を撮影します。


ちなみにドローンを使用すれば高所カメラ同様にホームインスペクションが行えますが、住宅街での飛行は近隣への迷惑になること、各所届け出が必要なことなどから、住宅調査には敬遠されがちな印象を受けます。

ドローンは広々とした土地の太陽光パネルの不具合検査やマンションの外壁の劣化確認などに用いられることが多いため、同様の条件下に建つ住宅ならば採用の余地があるかも知れません。

基礎の調査にはこれ

打診棒


打診棒はタイルや基礎の浮きを調査するのに使用します。

タイルや基礎に浮きがないかを目視で確かめるのは困難です。打診棒を当てたとき、もし浮きがあった場合は他の場所とは音が異なるので不具合がないかどうかを見分けることができます。

クラックスケール・クラック針


クラックには放置しても問題がないクラックと対応が必要なクラックがありますが、その基準はクラックの大きさ(ひび割れの幅)によって決められています。

クラックスケールやクラック針はクラックの大きさを測ることができ、これらの道具を使えば指摘事項に該当するかどうかを判断できます。

鉄筋探査機


基礎の配筋を調査するのに使用します。

この装置を基礎に当てた時、内部に鉄筋がある場所では反応します。反応が起きる場所を順番に調べていき、図面と照らし合わせて異常がないかどうかを確認することができます。

最近の住宅では基礎に鉄筋をいれない施工はしないとは思いますが、昭和に建てられた住宅では時々鉄筋の反応が出なかったり、現行の建築基準となる「鉄筋の間隔は30センチ以内」という規格を守らず施工されていることもあるため注意が必要です。

外壁の調査にはこれ

点検鏡

点検鏡
点検鏡は目視で狭い場所や高くて目が届かない場所の確認に使います。

長さを調整する棒の先には鏡が取り付けられており、建物の外周部分や屋根周りなどに雨水が侵入する場所がないか、などを確かめるのに使います。

防虫網が施工されていることがわかる

その他にも基礎の水切り金物の裏に施工されている防虫網が適切に施工されているかどうか、バルコニー部分から手すり壁の確認など用途は様々です。

地上から目視で点検してもサッシの上側に生じているシーリング等の不備はこの点検鏡を使用しないと確認できないので外壁調査ではマストのアイテムだと言えるでしょう。

針金


主にシーリングに生じた穴が貫通しているのかを調べます。

よくあるサイディング壁であればおおよそ20mmほどの厚さです。外壁表面に生じたシーリングの隙間から針金を差し込んでみてズブズブと20mm以上入ってしまえば外壁を貫通してしまっていることが確認できます。

壁内には水を弾く防水紙が設置されており、窓まわりであればゴムのテープ材などで防水処置はとられているとは思われますが、これらはすべて一次防水であり、もし不備があった場合に守ってくれるのが二次防水となるシーリングなどとなります。

念のためとはなりますがより住宅を長持ちさせるためにもシーリングに生じた穴は念のため埋めることが望ましいでしょう。

双眼鏡


屋根では精度が微妙になるとお伝えしましたが双眼鏡の本領が発揮されるのは外壁です。

2mを超えるような場所の不具合は視力や経験による着眼点の違いなどでどうしても発見が難しくなります。これらを軽減してくれるのが双眼鏡です。

下から見た限りでは気付くことが難しい不具合や新築である指摘としてはサッシについた養生材の剥がし忘れなどが気づきやすくなるでしょう。

室内の調査にはこれ

スケール

コンベックス
スケールは主に傾きの計測に使用しますが、計測にはレーザーレベルも同時に使用します。

まずはレーザーレベルの光が地面に対して水平に壁に表示されるようにし、その光を部屋の決められた位置で測っていきます。


同じ部屋の中で長さが違う場所がないかどうかを確かめることによって傾きがないかどうかを調査することができます。


他には階段の段差が基準通りの出幅になっているか、2階や3階の窓下に腰壁があれば1,1m以上の高さがあるかなどを確認します。(この1.1mよりも低いと落下防止でサッシに手すりを付ける必要があります。)

レーザーレベル

レーザーレベル
建物の傾きを計測するのに使用します。

通常の水平器では一般的な住宅の一部屋のような狭い空間では正確に計測することが難しい傾向にあります。

しかしレーザーレベルを使えばそのような空間でも正確な調査を行うことができます。e-LOUPEではそれぞれの部屋で測定を行うようにしています。


部分的な傾斜やカウンターや狭い範囲などであれば水平器等を使用することもあります。

LEDライト


ホームインスペクションを行う場所の中には床下や小屋裏、浴室の天井などの暗い場所も含まれます。そういった場所の調査にはライトが必要不可欠です。

輝度の高いLEDタイプのライトを使用します。

小屋裏床下調査にはこれ

木材水分計


床下や小屋裏の木材にどの程度の水分が含まれているか(含水率)を計測します。含水率が一定の基準を上回るとカビや腐朽のリスクが大きくなりますので、事前にそういったリスクを把握することができます。

また、小屋裏で雨漏りのようなシミが見受けられた場合にも木材水分計を用いればそれが直近のものなのか、より正確な情報を得ることができます。

内覧会時に役に立つアイテム

持ってきておくと内覧会時により細かく住宅チェックを行うことができます。

スマホの充電器


各所のコンセントに電気が来ているのかを調べるために使用します。

エアコン用の200Vは刺せませんがその他の箇所はもれなく調べることができるでしょう。

またホームインスペクションではコンセント等の通電確認などはオプションとしていたり、そもそも調査範囲外だったりするので調査費用の節約にもなるかもしれません。

ティッシュ


換気扇の吸気確認で使用します。

極稀に換気扇搬入時についていた汚れ防止のカバーがついたまま取り付けていることがあります。吸気が行えない状態では浴室では水蒸気が抜けないため浴室内にカビが生じやすくなります。

このカバーの取り忘れは主に浴室で見かけるものではありますが最近では全館空調システムを標準装備にしている住宅もあり、廊下などにも設置されていることがあります。

また床下換気扇が設置されている場合、吸気、排気ができないと湿気が篭もり床下内の著しい湿気やカビなどが発生することもあります。

水の入ったペットボトル

これは主にバルコニーなどで流し、水の勾配がきちんと取れているかを確認します。

内覧会時が雨であれば不要かもしれませんが、広いバルコニーだと部分的に水たまりが生じることもあるため注意が必要です。

まとめ


今回はホームインスペクションで使用している道具についてご紹介してきました。

住宅を調査するのに数々の特殊な機材が使いこなされていることがわかったのではないでしょうか?

ホームインスペクションについてはこちらのページで詳しくご紹介していますのでもし興味を持っていただけたようでしたらぜひご覧ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。