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ホームインスペクションで分かる「断熱材」の施工状況

2020.08.27
大原

WRITER

大原 卓也

一級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築設備会社を経て、株式会社テオリアハウスクリニックに入社。2013年より住宅インスペクション事業に携わる。住宅調査以外にも、不動産会社向けセミナーや建築士対象の研修会の講師も行う。JSHI公認ホームインスペクター。ドローン操縦士。

「ホームインスペクションでは「断熱材」の施工状況についてもチェックをおこなっていただけるのでしょうか」

このようなご質問をいただくことがあります。

近年、断熱材に対しての興味関心が段々と高くなってきているように感じますし、それはとても大切なことです。

なぜなら、断熱材は快適な生活を行う上でとても大切な建材であることや、それにもかかわらず施工がしっかりできていないケースをホームインスペクションで発見することが少なからずあるからです。

この記事を読んでいただくと

  • ホームインスペクションにおける断熱材の調査の重要性
  • 多くの住宅で断熱材の施工不良が見つかる理由
  • 断熱材の施工不備を見つけた時の対処法

これらについて知ることができます。

ホームインスペクションで断熱材の調査が重要な理由

ホームインスペクションではどうして断熱材の調査を重要視すべきなのでしょうか。これを考えるには、「そもそもどうして断熱材が重要視されているのか」についても知っておく必要があります。

建物を快適な空間にする断熱材の役割

断熱材を建物に取り入れることには、健康面や経済面でメリットがあります。

例えば健康面では、冬の夜就寝前にエアコンを切ったとしても室温の急激な低下を防ぐ効果がありますので、寝ている間の体温の低下による免疫力低下のリスクを小さくすることができます。

また、効率的に冷暖房で室温の調整ができるようになるので、光熱費の節約にもつながります。

性能の良い断熱材を使うことが、快適な居住空間をつくるカギであると言っても過言ではないでしょう。

断熱材はトラブルの原因にもなり得る

住宅にとって様々なメリットがある断熱材ですが、その反面「断熱材が原因となるトラブル」が多いのも事実です。具体的には結露やカビの発生です。実際に私がホームインスペクションを行なった建物でも、天井にシミがあったので、雨漏れの可能性を疑って小屋裏を確認したところ結露が原因だった、という事例がありました。

これは断熱材の施工が上手くできていなかった事が原因で温度差が発生して結露ができてしまったことにより起きたものでした。もしこのような結露を放置してしまうと湿度が上昇し、カビの発生にもつながりかえって健康面でのリスクを大きくしてしまうことにもなります。

多くの住宅で断熱材の施工不良が見つかる理由

こういった話は残念ながら決して珍しい話ではないのが現実です。

私がこれまでホームインスペクションを行なってきた物件でも、断熱材が正しく効果を発揮するためにはどのように施工する必要があるのかを考えずに単なる作業として敷くだけ、という施工の跡を見かけることがよくありました。

断熱材には裏表があるのですがそれが逆になっていたり、断熱材と断熱材の間に隙間ができていたり、といった具合です。

ではどうしてこのような断熱材の施工不良が起きてしまうのでしょうか。原因は施工現場の断熱材に対する知識不足にあります。

例えば、小屋裏を調査していると照明の裏側の断熱材がズレて施工されていることがあります。これは照明を設置することだけに意識が向いていて断熱材に隙間が生まれることには注意を払っていないからだといえるでしょう。

また、配管周りの断熱材についても、穴を空けて断熱材に配管を通すスペースを作ることだけを意識していて、配管と断熱材との間の隙間が塞がっておらず断熱欠損が生じているケースを見受けることもあります。

断熱についての知識不足から来る施工品質に対する管理の甘さが、多くの住宅で断熱材の施工不良が見つかる大きな原因となっています。

断熱材の施工不備を見つけた時の対処法

ここまで、断熱材の不具合の例をご紹介してきましたが、もし断熱材の施工不備を見つけた時に施工店やハウスメーカーに断熱材の手直しをしてもらう具体的な流れについてご紹介していきます。

先ほどもご紹介したように断熱の施工品質は、仕様や契約では細部までしっかりと決められていないことが多く、「断熱材はこういった状態になるように施工しなければいけない」と求めることは難しいのが現状です。

とはいえ、断熱材が落下しているなど明らか欠損部分については交渉の余地が十分にありますので、実際の写真を用意した上で相談をするようにしましょう。

また、中古住宅を購入する場合に置いても断熱材の性能は重要視すべきですが、中古住宅の場合は2010年頃よりも前の建物では断熱材が使われていなかったり、ほとんど効果を期待できない状態であることが大半です。もし中古住宅を購入される方でリビングなどのリフォームを検討されている方は是非断熱材を新たに設置するリフォームを実施することをおすすめします。

まとめ

今回はホームインスペクションにおいて見受けることがある断熱材の施工不備についてご紹介させていただきました。断熱材の性能は建物の暑さ、寒さにも直結しますし、健康面にも影響することもあるため注意しておくべきです。

断熱材の手直しをどこまで行なってくれるかはメーカーや工務店によって基準が異なってきますが、いずれの場合でも引き渡し後の対応は難しくなってしまいますので、内覧会などのタイミングで確認をしておくことが望ましいでしょう。

e-LOUPEのホームインスペクションでは床下や小屋裏への進入調査を基本メニューとして行っており、雨漏りや金具のしめ忘れなどの指摘事項と一緒に断熱材の状態についても調査を行っています。

もし「住宅を購入前にしっかりと建物の状態をチェックしておきたい」という方は是非お気軽にご相談ください!

 

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。