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居住中の建物でのホームインスペクションで気を付けること

2023.02.01
鳥居

WRITER

鳥居 龍人

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て株式会社テオリアハウスクリニックに入社。前職での現場監督経験から、施工から設計まで幅広い知識と経験を持つ。現在はその経験をもとに戸建て住宅のインスペクション業務に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。

今回は「居住中の物件でのホームインスペクション」について状況ごとの注意点や対策を詳しくご紹介していきます。

売主が居住中のホームインスペクションでの注意点

ホームインスペクションの了承

まだ売り主が住んでいる状態でホームインスペクションを行うには大前提として売り主が調査に同意してくれるかが一番最初に出る問題となります。

売主が必ずしも理解を示してくれるとは限らず「ホームインスペクションするならあなたとは契約しない」と売買を断られてしまうケースや、「そんなに時間がかかるとは聞いていない」と十分な調査時間が確保出来ないケースが考えられます。

宅建業法の改正でホームインスペクションに対する理解は段々と深まってきてはいますが、今でもこのようなケースに出会う事がまれにあります。

売り主の方にしっかりとホームインスペクションを活用することへの理解を示してもらうこと、調査を行う場所や調査にかかる時間などを売り主に事前に正確に伝えておくことが重要です。

見れない部屋や場所


「この部屋には入らないで欲しい」とか「このクローゼット内は見ないでください」等の売り主の都合により建物全体を見ることができないことも多々あるため、せっかくお金を払ったのにすべての情報が得られないこともあります。

もし「開けないで」と言われたクローゼットの内側に床下を調査するための点検口があった場合なども自ずとホームインスペクションの精度は低下することになります。

また弊害として、家具や家電などの売り主の残置物が調査の妨げになることがあります。

例えば建物の角にソファやテレビなどが置かれていると壁の傾斜測定が十分に行えず、カーペットなどが敷き詰められていると床の傾斜測定が難しく正確な結果がでないこともあるため、物が多い状態での調査はあまりおすすめできません。

余談ですが、猫や犬を飼っている売り主の場合は各所の点検時に、特に床下調査や天井裏を開けている調査時にはその部屋にペットを近づけないようにして貰う必要があります。

以前、調査中に床下へ猫が入ってしまい出すのに一苦労したことがあり、時間が限られているインスペクションがペットを捕まえることに大幅に時間を使うことになる可能性があります。

もしホームインスペクションをご検討であれば売り主へお伝えしましょう。

売主側で行う場合


売り主側でのホームインスペクションは基本的には自分の家になりますので、ホームインスペクション自体は問題なく実施する事が可能です。

しかし、前述した通り居住中の建物には台所下や洗面所下、クローゼットなど様々な場所に荷物が置かれているため、ホームインスペクションに時間がかかってしまったり、場合によっては物の移動を行う必要があります。

あまりにも見れない箇所が多いと何かを隠しているように買い主にとられる事があるため、できるだけ収納や室内などは確認できるといいでしょう。

設備に関しても、住んでいる間は使えたがが引き渡した頃には使えなくなってしまっていたとなるリスクも想定されます。

いずれにしても、なるべくトラブルを避けるために、報告書として買い主に提出する際は、どのような状況でホームインスペクションを行い、どの程度の範囲までを確認することができたか、しっかりと報告しておくことをおすすめします。

買主が居住後のホームインスペクション

物件が売り主から買い主に引き渡され、居住し始めた後にホームインスペクションを行うことも可能です。実際にe-LOUPEにも「今住んでいる家について建物診断をお願いしたい」というご依頼をいただくこともあり、ご対応をさせていただいています。

とはいえ、やはりホームインスペクションを実施するのは、売買契約を直近で行うのであればやはり引っ越し直後(引っ越し前)に行うことをおすすめします。

基本的には物がない状態での調査が望ましく、家全体を調べる際に家具をどけなければ確認できないとなるとその分調査時間も長引くため買い主にとっても拘束時間の短縮に繋がると思われます。

まとめ


今回は居住中のホームインスペクションの注意点をご紹介してきました。(ホームインスペクションについてはこちらのページでも詳しくご紹介しています)

ホームインスペクションは居住中の物件でも行えます。

ただし手続きはどうしても煩雑になりがちですし、ホームインスペクションの精度そのものにも影響を及ぼすリスクがあります。

もし、「居住中ではあるがどうしてもホームインスペクションを実施したい」状況をご説明いただければ、できる限りご要望に沿わせた調査を行うことも可能です。

しかし可能であれば引き渡し直後の何もない状態での調査が最も精度良く、全体的に確認できると思われますので私はこちらが一番オススメです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。