e-LOUPEの旬ネタコラム

  • 新築戸建て

確認必須!東京でホームインスペクションするなら知っておきたい事

2023.05.31
岩井

WRITER

岩井 数行

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て2010年に株式会社テオリアハウスクリニック入社。床下調査や断熱事業での現場経験を活かし、現在は戸建て住宅インスペクション事業に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。蟻害・腐朽検査士。

こんにちは。e-LOUPEの岩井です。

今回は東京都でのホームインスペクションについて、メリットや注意点を私がこれまで行ってきた経験を交えつつ解説します。

東京の住宅事情とホームインスペクションの役割

東京都、とりわけ23区内の住宅には

  • 狭小物件
  • 3階建て
  • 古くからの住宅地
  • 駐車スペースがない(ビルドインガレージになる)
  • 不整形地が多い
  • 住宅が密集している

といった特徴があります。いわゆる「都心型」と呼ばれる住宅です。

また、東京には多くの大手ビルダーさんが存在するのも大きな特徴です。

これらの事情を踏まえると、東京の住宅でホームインスペクションを行うメリットもおのずと見えてくると思います。

不備が出やすい施工環境

東京都の土地が狭い地域では新築の施工中に部材の保管場所を確保しにくかったり、建物を雨水から保護しにくい傾向にあります。

もししっかりと対策を取らずに建てられていると、資材が建築中に濡れてしまったり床下に雨水が溜まったまま床を閉じてしまう可能性が考えられます。

実際、ホームインスペクションで小屋裏や床下を調査すると野地板に染みができていたり床下一面が水浸しになっていることもあります。

施工環境の影響は何かしらの不備として建物に残るリスクもあるため、注意が必要です。

問題が起きやすい現場管理

通常、現場監督は複数の住宅の建築状況をまとめて管理します。

分譲地のように隣り合わせで管理できればいいのですが、東京の土地が狭い地域では1棟1棟が離れ離れになっていることも珍しくありません。

その場合、1棟の現場にいる時間はどうしても少なくなり、現場の職人に作業を任せる時間も長くなることから問題も起きやすくなります。

狭い土地が不備の原因になることも

東京23区では狭い土地の形状に合わせて住宅が建てられている場合があります。

しかしそんな住宅では収まりに無理が生じ、そこが不備となりやすい傾向にあります。

たとえば次のような建物です。

土地が狭小な地域ではトイレを階段下に床高を下げて作ることでスペースを節約しようとする住宅を見かけることがあります。

工夫が凝らされていてとても面白いですが、気をつけなければいけないこともあります。

床高を下げるということはその分床下の空間も狭くなることを意味します。

そのため、床下の束の配置などに問題が発生していることが多いですし、今後もし配管の水漏れなどの不具合が発生した際にも修繕が難しくなります。

また、次のような形状の住宅を考えてみましょう。

東京の狭い土地を活用して家を建てようとするため、このような特殊な形状の住宅をよく見かけます。

こちらもやはり気をつけておいた方がいい点があります。

施工は足場を組んで行いますが、建物の形状の都合でどうしても建物の形状と合っていない形で足場を組まざるを得ない場合があります。

特に外壁と外壁の接合部分ではこれまでもよく指摘事項を発見してきました。

このように東京の住宅では「狭い土地」という環境そのものが不具合のリスクを高める傾向にあります。

東京の住宅でホームインスペクションが重要な理由

これまでご紹介してきたように、東京の住宅には東京ならではの特徴とそれに伴うリスクがあります。

それらのリスクをうやむやにすることなく、調査によって建物の状態を正しく把握することには大きな意味があると思います。

また、東京都でのホームインスペクションには以下のようなメリットも考えられます。

建物の安全性の確認

東京都は地震リスクが高い地域の一つです。ホームインスペクションを実施することで、建物の耐震性能や構造の崩れなどを調査し、安全性を確認することができます。

経年劣化による指摘事項の発見

東京都の山手線外周を中心に戦後に急速に市街地となった木造住宅密集地域があり、それらの住宅では経年による建物の劣化が進行していると考えられます。

ホームインスペクションでは、建物の状態を点検し、経年劣化による問題を早期に発見することができます。

将来の資産価値を守ることができる

東京都のような都心部の住宅は資産価値が高いことが多く、将来的にもその資産価値を守るためにも、建物の状態を正確に把握することが重要です。

ホームインスペクションによって、建物の問題点を早期に発見し、修繕や改善を行うことで、将来的な資産価値を守ることができます。

東京でのホームインスペクションの注意点

そもそも調査が難しい場合もある

構造が特殊な住宅の場合、ホームインスペクションを実施しても調査を実行できない場合があります。

たとえば狭小住宅では床下や小屋裏が低く造られている傾向があり、場合によってはホームインスペクターによる詳細な調査ができない事もあります。

また、隣地との間隔が狭く3階建てのように縦に高い建物の場合、屋根や壁面上部の調査が難しい傾向にあります。
対策として床下調査であれば点検口の新設、屋根や壁面上部であれば高所カメラを用いた調査を実施すればより精度の高い結果が得られます。

いずれも別料金であることがほとんどですので、調査内容は事前に確認しておきましょう。

東京の住宅の特徴を理解した業者か

これまでご紹介してきたように、東京都の住宅には土地がら独特の特徴やそれに伴うリスクがあります。

そのことをしっかり把握している業者でないと正しく住宅を診断することはできません。

もしホームインスペクションを依頼する際は、それまでの調査実績や技術の裏付けはあるのかなど、事前に把握しておくのがおすすめです。

東京でのホームインスペクション事例

小屋裏で野地板の染み痕を発見

新築住宅で住み始める前のホームインスペクションを行った際に、小屋裏の野路板に染みの跡を発見した事例についてご紹介しています。

内覧会でバルコニーの防水部分の割れを発見

内覧会に同行してのホームインスペクションを行なった際に、バルコニーの防水部分の割れや床下の配管スリーブに隙間を発見した事例についてご紹介しています。

築10年の自宅でのホームインスペクション

築10年目を迎えるご自宅での保証満了の点検前のホームインスペクションを実施した際に、シーリングの劣化や断熱材の欠損を発見した事例をご紹介しています。

さいごに


今回は東京都でのホームインスペクションについて、日々調査を行う中で感じていたことをご紹介してきました。

住宅はその土地それぞれの事象を考慮して建てられます。もし住宅に不安を感じるようでしたらホームインスペクションを活用してみるといいかも知れません。

ホームインスペクション全体についてはこちらのページでも詳しく解説しています。もし興味を持っていただけたようでしたらぜひ読んでいただけると嬉しいです。

最後までお読みくださりありがとうございました。

e-LOUPEトップページへ
e-LOUPEの診断内容
過去の診断事例集
e-LOUPEの診断料金
e-LOUPEお問い合わせフォームへ

 

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。