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同じ住宅でインスペクションの再調査を依頼する時のポイント


WRITER
大原 卓也
一級建築士 e-LOUPEインスペクター
「ホームインスペクションを行なった物件の再調査を考えています。ホームインスペクションの再調査の際のアドバイスがあれば詳しく聞きたいです」
このページではこのような疑問にお答えしていきます。
ホームインスペクションの再調査を行う状況としては
「インスペクションを行なったはいいけど、報告書の内容が薄くて不安・・・」
「仲介会社や売り主がホームインスペクションを行なってくれたけど、自分でもう一度お願いしたい」
など、様々なケースが考えられますが、いずれの場合でも共通するポイントがありますので、今回はそれをしっかりとお伝えしていきますね!
ホームインスペクションの再調査で気をつけること
ホームインスペクションの再調査を検討する時は
- 調査範囲
- 調査内容
この2つに注目しましょう。
調査範囲
ホームインスペクションは建物の状態を把握する調査です。
インスペクションが実施済みで、報告書も「指摘事項は無い」とされていれば、「何も問題がなかったのだな」と思われる事でしょう。
しかし注意しなければいけないのは、インスペクションには「段階」があるということです。段階とは、「どこまで診ている調査か」という意味です。
ホームインスペクションと一概に言っても、様々な機器を用いる調査、直接小屋裏や床下へ入り確認する調査、状態からメンテナンスのアドバイスを実施するものなど、そのサービス内容は調査会社により多種多様です。
具体的に「傾斜の調査」と「床下の調査」の場合で見てみましょう。
傾斜の調査では、同じ傾斜の調査でもレーザーレベルを使うのか、水平器を使うのかでも精度は変わりますし、調査は一部屋だけなのか、すべての空間で行うのか、でも結果は変わることがあります。
床下の調査についても、同じ床下の調査でも点検口からライトを使ってのぞくだけなのか、床下に進入するのかでは調査そのものの精度が変わってきます。
調査結果は「どのようにして調査を行った上での結果なのか」で変わってきますので、再調査を行うべきかどうかの判断も、「建築士」のような肩書ではなく
- しっかりと信頼のできる調べ方をしたのか
- これからお願いしようとするところは、今よりも高い精度が見込めるのか
を調べるようにしましょう。
調査内容
元々ホームインスペクションでは
- 建物の構造に関わる箇所に不具合や問題が起きていないか?
- 雨水が浸入していないか、浸入を防止する部分に不具合や問題が起きていないか?
が「最低限確認するべき場所」として国によって決められています。
しかし、やはりあくまでも必要最低限の項目ですので、もしかしたら買い主が本当に知りたい情報は含まれていない可能性があります。
また調査範囲も「目視可能な箇所」の調査が基本ですので、十分な判断材料が手元に無い状態での検査結果である可能性もあります。
当然ですが調査範囲が狭ければ狭いほど、調査の精度も下がってしまいます。
実際に起きた事例として、売り主側がインスペクションを実施し「問題無し」と判断された後、買い主が改めてインスペクションを別の調査会社で実施したところ、小屋裏の進入調査で雨漏れを発見した、というものがありました。
現在のインスペクションは「どこまで」診た上での調査結果なのかを確認し、再調査を行うかどうか判断するようにしましょう。
再調査を「部分調査」にするという手もある
ホームインスペクションは費用がかかる上に、全ての範囲を確認すると半日以上かかる場合もあります。
建物の購入を決めて引き渡し前にもう一度自ら調査会社に依頼する場合は、調査範囲や手段を確認した上で「部分的な調査を依頼する」という選択肢も考えてみてはいかがでしょうか?
例えば、床下は点検口からの目視のみ、屋根は進入しての調査を依頼する、といった具合です。
このような部分調査に対応出来るかどうかは各調査会社によって異なるので、事前に相談してみることをおすすめします。また、全てもう一度調査した方がいいのか、追加調査のみで問題ないのか?追加調査を実施する場合はどの範囲まで行えばいいのか、売り主からの報告書のみで判断が難しいようであればそれも合わせて確認してみるといいでしょう。
「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。