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「このひび割れは大丈夫?」基礎のクラックの危険性はこうやって見分ける!

2022.02.02
大原

WRITER

大原 卓也

一級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築設備会社を経て、株式会社テオリアハウスクリニックに入社。2013年より住宅インスペクション事業に携わる。住宅調査以外にも、不動産会社向けセミナーや建築士対象の研修会の講師も行う。JSHI公認ホームインスペクター。ドローン操縦士。

こんにちは。e-LOUPEの大原です。

今回は「クラック」の指摘事項についてお話しをしていきます。

お客様からよくご質問をいただく事の1つが「基礎のクラック(ひび割れ)」です。

「このひび割れは放置して大丈夫なの?」
「まだ建って間もないのにこんなヒビが入っていて大丈夫なの?」

といったお話しを度々いただきます。

この記事では、私たちがどのようにクラックの危険性を判断しているのか、住宅の購入者はどのようなことに注意すべきなのか、などについてお話ししていきます。

基礎のクラックの危険性を判断するには?

クラックスケール
基礎のひび割れ

そのクラックが放置しても大丈夫かどうかは「深さ」「幅」などにより決まっています。

私たちホームインスペクターはクラックスケールなどの道具を使って実際にひび割れの大きさを測り、指摘事項として含むかどうかの判断をしています。

具体的な数字を紹介すると、インスペクションの基準(国土交通省の既存住宅インスペクションガイドライン)では

  • 幅0.5mm以上
  • 深さ20mm以上

であれば指摘事項としており、それ以下の数値の場合で軽微なものとして判断することになります。この時、0.3mm以下の軽微なクラックを「ヘアークラック」と呼んだりもします。

どうしてこのようなクラックが生まれるのかというと主な原因は「コンクリートの乾燥収縮」です。

出来立てのコンクリートは水分を多く含んでいます。しかしその水分は時間と共にどんどん蒸発していき、それに伴いコンクリートも収縮しようとします。

その際にできるひび割れがヘアークラックというわけです。ヘアークラックは特に補修などは行う必要がありません。

指摘事項のクラックを放置したらどうなるの?

反対に、先ほどの基準を上回るようなクラックは危険であると認識する必要があります。

大きなクラックを放置すると、ひび割れによって生じた隙間から水分が入り込み、内部の鉄筋を錆びさせる原因になります。

鉄筋が錆びるとどんどん膨張していき、結果的に建物を支える基礎コンクリートの強度低下にも繋がる可能性があります。

そういったクラックが生まれる原因としては経年による劣化以外に、

  • 建築時の施工不良
  • 地震による動き
  • 地盤の弱さによる不同沈下

などが考えられます。

特に地盤の影響それによる建物の傾き、それが原因で発生したひび割れだった場合、クラックの補修だけで済む話ではない可能性もありますので注意が必要です。

クラックは珍しくはない事象ですが、きちんと正しい補修をすれば家を長く住み続けることになるでしょう。

基礎のクラックは見る人により判断が分かれることも

ちなみに、クラックに対する見解は調査を行う団体によってまちまちで、意見が食い違う事も起こり得ます。

実際私も、数値上では低いものでもひび割れが広範囲に渡るものなどは注意が必要として指摘する場合もあります。

また、クラックの判断基準はインスペクションガイドライン以外に、日本建築学会の「鉄筋コンクリート造建造物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説」というものがあり、ひび割れ幅の基準について屋外側は0.3mm、屋内側は0.5mmまでのひび割れであれば許容とし、それぞれのひび割れ幅での補修方法についても記載がされています。

これらの要因を総合的に判断しようとすると、人によってどうしても見解が分かれてしまいます。

別の方から聞いた話ですが、基礎のひび割れについて当初見てもらった人には「問題ない」と言われていたのが、別の建築士には「非常に危険な状態だ」と言われどちらが正しいのか分からなくなってしまった・・・というケースもあるようです。

私としては、最も信頼がおけそうな方のアドバイスを聞くようにして欲しいとしか言いようがないですね・・・

ただ、いずれにしても気をつけていただきたいのは「このクラックを放置したら危険ですよ」と言って不要な施工を勧めてくる悪徳リフォーム業者の存在です。

もし基礎の補修について提案を受けた際は「どこにどれくらいの大きさのひび割れがあったのか、なぜ危険だと判断したのか」をしっかり確認するようにしましょう。

私がクラックの調査で気をつけていること


ちなみに、クラックの調査は「問題ではなかった箇所」でも対応が分かれるポイントだと思っています。

というのも、ホームインスペクションのサービスは、指摘となる基準に該当したものだけを報告するもの、ある一定事象が起きていたことを報告するもの、など各社でスタンスが異なります。

私たちe-LOUPEとしては、問題がなかったからといって特に何も対応をすることなく放置してしまうと、「本当に見てくれたのか、見落としているのかどっちなんだろう」と不安に思ってしまうのでは?と考えています。

実際、ご相談をいただいたお客様の中にも「工務店の人にクラックについて質問をしたけど問題ないの一点張りでちゃんと取り合ってくれなかった」と話していただいたことがあります。

というわけで、e-LOUPEが調査を行うときは指摘事項だけではなく、「問題はなかったけどもしかしたら心配に思うかもしれない」という場所についても報告することを心がけています。

お客様に本当の意味で安心してもらえるホームインスペクションにしていきたいですね。

 

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。