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新築住宅の10年保証とは?満了時の注意点を解説

2023.09.04
岩井

WRITER

岩井 数行

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て2010年に株式会社テオリアハウスクリニック入社。床下調査や断熱事業での現場経験を活かし、現在は戸建て住宅インスペクション事業に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。蟻害・腐朽検査士。

こんにちは。e-LOUPEの岩井です。今回は築10年目の定期点検についてお話ししていきます。

新築住宅では10年間の品質保証が義務づけられています。

そのことから、多くの住宅では築10年目に売主による点検が実施されることとなります。

10年目の点検ではどのようなことが行われるのか、気をつけるべきことは何か、詳しく解説していきます。

新築の10年間保証とは


新築住宅は「住宅瑕疵担保履行法」という法律により、施工店はその住宅の

  • 構造耐力上主要な部分
  • 雨水の浸入を防止する部分

に関して住宅瑕疵担保責任(欠陥があった時に責任を持つこと)があります。

そのためもし新築から10年の間に雨漏れが生じたり柱などに不具合が生じるようなことがあれば、施工店は修理や修理のための費用を出さなければいけません。

ちなみに、万が一施工店が10年の間に倒産してしまったとしても保険制度により費用の支払いが行われます。

このような保証は中古物件には付く事がないため、新築を購入する大きなメリットと言えるでしょう。

10年保証で買主が注意すべきこと

何かしらの劣化は必ず発生している


前提として、建物は10年経てば様々な部分で必ず劣化が発生します。

たとえば先日調査したこちらの建物では外壁の様々な箇所にシーリングの割れが見受けられました。

こういった劣化は珍しい話ではなく、ごく当たり前のように発見されます。

保証の満了を迎えるに当たっては、まずは「どこかに必ず不具合がある」という認識を持っておくのが大切ではないかなと思います。

細かい不具合は責任の対象外


10年間の住宅瑕疵担保責任は、対象はあくまでも構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分のみです。

クロスの剥がれなどの軽微だが景観上気になる部分に関する保証、いわゆるアフターサービス保証の有無やその内容は施工店により様々です。

どのような契約が取り行われたのか、契約書をしっかりと確認しておく事をおすすめします。

点検内容は事前に細かく確認しておく


施工店によっては10年の保証が満了を迎える前に現状確認の点検を実施する所もあります。

アフターサービスとしてはとても有難いと思いますが、事前に注意を払っておいた方がいいのが調査項目と調査内容です。

調査内容や調査項目により得られる情報は大きく異なってきます。


たとえば屋根の検査は双眼鏡で行う場合もあればそもそも実施しない場合もありますし、雨染みや傾きの有無を機材を使って調査する場合もあれば入居者からのヒアリングによる確認のみのケースもあります。

事前にどの点検をどの様に実施するか、施工店にしっかりと確認しておく事が望ましいです。

外部の会社による調査は必要?

10年保証を迎えるにあたっての調査を外部の専門家に依頼をするかどうかですが、施工店と調査会社のそれぞれの強みを踏まえて検討するのがいいのかなと思います。

施工店による調査は基本的には無償で行われます。また、その家の施工に直接関係している人間による調査であることを意味しますので、住宅の事情をより細かく把握しているという強みがあります。

小屋裏への侵入調査で発見した野地裏の水染み

外部の会社による調査は自費にはなってしまうものの、床下や小屋裏への進入調査、高所カメラや鉄筋探査機などの特殊な機材を用いたより精密な調査を客観的な立場から行えることが期待できます。

住宅のことをどこまで把握しておきたいかによってうまく外部のサービスを活用されるのがいいのではないかなと思います。

まとめ

今回は10年目点検についてご紹介していきました。

住宅は購入して終わりではありません。しっかりとしたメンテナンスを行う事が安全により快適な住まいを長く維持することに繋がります。

まずは節目となる10年目に建物の状態チェックを考えてみてはいかがでしょうか。

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