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屋根のホームインスペクションで何がわかる?指摘事例や注意点を解説

2023.01.31
鳥居

WRITER

鳥居 龍人

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て株式会社テオリアハウスクリニックに入社。前職での現場監督経験から、施工から設計まで幅広い知識と経験を持つ。現在はその経験をもとに戸建て住宅のインスペクション業務に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。

ホームインスペクションの重要な調査項目の1つに、「屋根」があります。

屋根は雨風から家を守る大事な部分でありながら、紫外線・台風・雨・地震などの自然的な要因、施工時のミスなどの人為的な要因により様々な劣化や不具合を起こします。

そのため、不具合がないかどうかの検査は必須と言えるでしょう。

今回は屋根のインスペクションに関しての注意点や検査方法、指摘の事例などを詳しくお伝えしていきます。

ホームインスペクションで分かる屋根の実態

苔の発生


主に北面や日の当たらない箇所に発生しやすい苔ですが、著しい植生は屋根材の劣化に繋がります。

最近よく使用されているスレート板等は、苔が繁茂すると苔の根により内部にまで水が浸透するようになり、熱や寒さの影響で割れが生じる可能性が高まります。

こういった苔は定期的な清掃が望ましいですが、高圧洗浄機等で清掃すると表面の材料も同じく削ってしまうため再度苔が発生しやすくなります。

洗浄を行う際は塗装や何かしらの修繕をセットで計画すると良いでしょう。

屋根材の割れ


台風や最近では大きな雹が降って来た際に屋根材が割れてしまうことがあります。

既存の住宅だけでは無く新築住宅でも割れを確認することがありますが、施工を行う際に屋根の上を踏んで移動するため、踏んだ場所が悪いと割れてしまうことがあるため注意が必要です。

しかし屋根材が割れてしまっている=雨漏りではない事も覚えておきましょう。

屋根材の下には防水材が貼られていることが一般的です。しかし防水材も施工した職人さんの腕によって若干の隙間が生じてしまったりするケースもあります。

割れ=雨漏りではありませんが注意が必要になるということを覚えておきましょう。

排水ドレンの詰まり

苔
これはルーフバルコニーに溜まった水を流す排水部分に苔が詰まってしまっている状況です。

特に人が乗ることを想定されていないルーフバルコニーや屋上では高確率で詰まっていることが多いです。

こういった排水部分の詰まりは水が溜まり、プールのような状態が生じてしまいます。

水に触れ続けている防水は加水分解と呼ばれる化学反応により、通常よりも早く劣化が進行します。その状態が長く続くと雨漏れや不快害虫の発生に繋がる可能性があります。

最近の新築住宅では、万が一排水ドレンが詰まってもバルコニーに面した窓などから水が浸入しないようにオーバーフローの穴がバルコニーの手すり壁などに設けられています。

しかし少し古い建物ではこの施工方法は一般的ではなかったこともあり、水切り金物や手すり壁、窓などから水が入ってしまう可能性が考えられます。

見えない箇所のドレンだけではなく見えるドレンも詰まり気味であれば清掃を行うことが望ましいでしょう。

棟金物の剥がれ

職人の施工漏れによって起きた事例です。

屋根と屋根のつなぎ目部分を隠す為に設置するこの下り棟の金物ですが、本来であれば両左右を一定間隔で釘などで固定しなければならないものです。

しかしこの物件の下り棟の金物は調査を行った際には既に剥がれ折れ曲がっていました。新築住宅の物件でしたが気づかず放置していればいずれ強風などで吹き飛び、隣家や自宅の壁に鉄の塊が叩きつけられていたと思われます。

引っ越し早々、近隣とのトラブルになる可能性やそもそもの雨漏りの可能性もあったため発見できて良かった不具合でした。

特殊な屋根ほど要注意!?

屋根の中でも特に注意しなければいけないのは特殊な形状の屋根です。

建物の意匠上でおしゃれに見えるからと人が確認できないような箇所にある防水ほど劣化が進行しやすかったり、排水ドレン部分に落ち葉や苔が詰まっていても気づきにくい傾向にあります。

陸屋根など平面状になっている建物ではなおさらですし、屋上のようになっている屋根自体に防水を施しているものは経年劣化で効果が切れている場合もありえます。

直接確認できないようになっているルーフバルコニーなども注意が必要です。

いずれにしても、水が溜まっている箇所(水に触れ続けれている箇所)は加水分解という化学反応により防水の劣化が早まる可能性がありますので、それが起こりやすい形状の屋根には注意を払った方がいいと思います。

屋根インスペクションで知っておくべき事実

屋根の調査

屋根のホームインスペクションで知っておいて欲しいこととして、「調査の難しさ」があります。

屋根検査は双眼鏡を用いて目視で行うのが一般的です。

しかし屋根は高さ・角度・周辺環境などの問題から一部のいい条件が揃った物件を除いて確認が難しいケースが多く、最悪の場合まったく検査が出来ない事もあります。

たとえホームインスペクションを実施したとしてもしっかりと見るべき場所を見ていないことで防水の劣化などに気付きづらく、雨漏りが起こってから気付く最悪のパターンもありえるでしょう。

対策として以下のいずれか、できれば両方を実施していただくのがおすすめです。

①特殊機材を用いた調査
昨今では、屋根を検査する際に役立つ便利な道具がたくさん存在します。これらの道具を用いれば目視による調査の難しさをフォローし、精度を高めることができます。

ただし、オプション料金となっている場合が多いので調査メニューや費用はしっかり確認しましょう。

高所カメラ
デジカメに自撮り棒を用いれば2階3階の窓やバルコニーから手を伸ばして屋根の状態を確認することができます。

伸縮するポールに不動産の内見写真等で使われる360°確認できる全方位カメラを付け、屋根よりも上から屋根全体を撮影する手段もあります。

以前はこのような特殊なカメラは数十万単位の高額なものでしたが、簡易的で安価なものが段々と出回るようになってきました。

住宅調査会社でも屋根に上るリスクを加味するとこういった特殊なカメラを使用する業者が増えているようです。

ドローン
あまりメジャーな手法ではありませんがドローンを飛行させ屋根全体を確認する方法もあります。

ドローンは何かと制限が多く住宅地での使用は非現実的ですが、周囲の土地が広く開けているような場所であれば一考の余地があると思われます。

もし興味があれば対応している業者を検討してみるといいでしょう。

②小屋裏への進入調査
小屋裏
外部からの検査が難しい場合にはせめて小屋裏の念入りな検査をお願いしましょう。

屋根の調査は外部からではなく内部からも行うことができます。

小屋裏の進入調査をすればシミ跡や濡れの有無を見て回ることで雨漏りが発生しているかどうかの確認を行うことができます。

ただし、やはり進入しての調査はオプション料金となっている場合が多いので機材を用いた調査同様にメニューをよく確認しておきましょう。

まとめ


今回は屋根のホームインスペクションについて事例を交えて詳しくお話ししてきました。

新築・中古住宅いずれも屋根では様々な不具合が生じていますし、それらは下からの確認では気付くことができないものばかりです。

どうせ調査するのであれば、状況の正確な把握が非常に重要だと私は考えています。

もしホームインスペクションを実施する場合は、しっかりと全体を調査できるのか、どんな道具を用いるのか、小屋裏への進入調査は行ってくれるのか、メニューを事前に確認しておきましょう。

こちらのページではホームインスペクションについてより詳しく解説していますのでもしよかったら併せてご覧いただけると幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。