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実はとっても重要!ホームインスペクションの「窓」調査

2023.03.10
岩井

WRITER

岩井 数行

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て2010年に株式会社テオリアハウスクリニック入社。床下調査や断熱事業での現場経験を活かし、現在は戸建て住宅インスペクション事業に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。蟻害・腐朽検査士。

こんにちは。e-LOUPEの岩井です。

今回は快適に暮らすためにも建物を長持ちさせるためにも重要な「窓」について、ホームインスペクターの立場から詳しくご紹介していきます。

窓のホームインスペクションはココを見る


ホームインスペクションにおける窓の調査は主に

  • 窓開閉はスムーズか
  • 立て付けは悪くないか

などを調べます。

一見簡単な作業に見えるかも知れませんがこれらの調査を通し、

  • 雨漏れの恐れがないか
  • 建物の構造に起因する不具合はないか

などが分かりますのでとても重要な項目だと言えます。

窓ビスがない

また、これらの調査を通して

  • 金具は動くか
  • ネジやビスのつけ忘れはないか

といった細かな不備を副次的に見つける事もあります。

初見では絶対分からない!?窓の指摘事項

窓のホームインスペクションでは中古新築問わず「専門的な知識がある人じゃないとこれは気づくの難しいだろうなぁ」と思う指摘事項をよく発見します。

代表例は「窓と外壁の接合部の隙間」です。


接合部に隙間があると雨水が内側に浸入する原因となります。

接合部の隙間の有無を確かめるには建物を外から見て廻る必要がありますし、隙間は死角となっている場所にできやすいことから、調査に慣れている人でないと中々気づきにくいです。

ちなみにですが、壁面の内部には防水対策が施されているのでたとえ隙間から雨水が入り込んだとしてもすぐに建物が雨漏りするわけではありません。

しかし防水シートにもたわみや破れ隙間がある可能性は否めませんし、いずれにしても一番外側で浸入を止めるに越したことはありません。

そういった事情を踏まえ、発見した隙間が小さなものであったとしても念には念をとの思いで報告をするようにしています。

窓の建てつけと建物の傾斜の切っても切れない関係


もし購入時に「この窓、ちょっと建てつけが悪いけど古いから仕方ないか」と感じるようなら要注意、背景にはさまざまな状況が考えられます。

たとえば「壁面の傾斜」です。

壁面で傾斜が生じている場合、片側には開きやすく逆側は閉まりにくいといった影響が明確に出ます。

また、窓を閉めた際に隙間が大きく生じているようでしたら傾斜の影響を長年受け続けて窓枠自体が変形してしまっている可能性が考えられます。

逆に壁の傾きがほとんど無いのに窓の開閉に問題がある場合は、窓そのものを修繕・調整することで解決するケースが多いです。

このように窓の調査単体だけでなく、他の調査と合わせて総合的に判断する事もあります。

仲介業者の「まぁ交換すれば大丈夫ですよ」といった言葉だけで判断してしまうのは避けたいところです。

内覧会で買主が確認した方がいい窓の特徴


主に新築の内覧会でのお話ですが、買主が確認しておいた方がいい窓の特徴に「開閉時の音」があります。

開閉時の音は人により許容範囲に大きく個人差が生じます。

その為、売主が問題無いと判断しても気になってしまう事があるかも知れません。

その様な場合は遠慮なく相談してみるといいでしょう。大半はすぐに対応してくれると思います。

住み始めてから気づく窓の「盲点」

指摘事項ではないのですが、窓は住み始めてから「おや?」となるケースもあります。

買主の「家を買う前は意識してなかったけど、これ大事だよなぁ」という声がよく挙がるポイントをご紹介します。

性能


アパートやマンションから一軒家に引っ越された方の「思った以上の寒さでビックリした」という声は本当によく耳にします。

また、「毎朝窓にビッシリと水滴がくっついていて、こんなに水滴がつくなんておかしい。建物のどこかに不具合があるんじゃないのか」と感じてしまう方もおられるようです。

これらの原因は窓の性能不足にあります。

特に中古住宅でよく見かける単板ガラスやアルミサッシの窓は寒さに非常に弱いです。住みやすさを考えると窓の性能にもあらかじめ注目しておいた方がいいかも知れません。

またこの時、窓の交換ではなく「内窓の設置」というやり方もあります。

交換よりも低コストでより大きな効果を得られる上、防音対策にもなりますので私としてもおすすめしたいところです。

国による補助金制度も充実していますので、「内窓 補助金 住んでいる地域」などでGoogle検索してみてもいいかも知れません。

カーテンレール

不具合というわけではないのですが、以前お客様から「カーテンレールが引き渡しの時点で用意されておらず困った」というお声を聞いたことがあります。

カーテンレールは一般的な建売ではオプションとなっている事が多く、内覧会の時に段取りをしておかないと引き渡し後しばらくは外から丸見えの状態・・・という事になってしまうかも知れません。

同じくシャッターや面格子といった物も後付けになっている住宅もありますので忘れずに確認しておきましょう。

さいごに

今回はホームインスペクションでの窓調査についてお話ししてきました。

基礎や土台といった建物の構造に関する部位ではないものの、窓に不具合が起きていないことはとても重要です。

もしホームインスペクションで窓を見てほしい時は事前にインスペクション業者の調査メニューを確認しておきましょう。(ホームインスペクション全体についてはこちらのページで詳しく解説しています)

最後までお読みくださりありがとうございました。

 

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。