e-LOUPEの旬ネタコラム

  • 新築戸建て
  • 中古戸建て
  • 自宅向け

家が快適になるほど木材劣化の危険度は上がる?

2019.07.29

軒
気密性が低かった昔の家は、冬になると隙間風が通り抜け、暖房を使っていても足元に寒さを感じたものでした。その点、現代の家はとても快適です。気密性・断熱性に優れているため、寒さや暑さがシャットアウトされると同時に冷暖房で調整された室内の温度が保たれます。どの季節でも極端に寒くなったり暑くなったりすることがありませんから、1年を通して快適に過ごすことができます。

しかしその反面、家自体が腐朽という病気にかかる危険性が高くなってしまいました。暖かさや涼しさが逃げにくいということは、当然、湿気も逃げ難いということです。気密性と断熱性の向上によって、床下や壁内部の風通しが悪くなり、湿気がこもりやすくなったのです。通気口を植木や材木等で塞いでしまうと、そのリスクはさらに高まります。

束石という基礎の上に直接柱を立てていた昔の住宅は、床下に十分な高さがあって通気性もよく、たとえ床下部材が濡れたとしても風がすぐに乾かしてくれました。一方、現代の家は頑丈なコンクリートで床下を囲まれているため、一度水分を吸収してしまった木材は乾燥しにくく、腐朽へ発展することが多くなっています。

腐朽の危険度を工法別にみると、やはりシロアリの場合と同じように、湿気が上に抜けやすい木造軸組住宅に比べ、密閉空間のあるツーバイフォー住宅の方が高いといえます。ただ、木造軸組住宅も防火性能や機密性・断熱性に優れた構造になってきているので、部材の欠損や老朽化によって水分が入ってしまった場合には腐朽する可能性は高まります。

民家から消えた“家の傘”

昔の話ですが、雨の日に民家の壁にぴったり寄り添って歩くと、体が濡れるという事はほとんどありませんでした。その理由は、民家の屋根からは必ず軒が出ていて、外壁のすぐ脇に雨が降り注ぐことが無かったからです。

しかし、今の家は平均的に軒の出が短くなっていて、中にはまったく軒のない家もあります。この原因は、住宅が密集するようになり、広いスペースを確保することができなくなってしまったためです。隣の家との距離が1メートルに満たないケースもざらにありますから、軒の長さを十分にとってしまうと家自体が狭くなるのです。

特に家が過密状態になっている都市部では止むを得ない傾向ですが、家を維持していく上ではとても厄介な問題です。私たちが傘をささずに歩くのと同じように、軒という傘をなくした家の外壁は雨が降るたびに雨水にさらされてしまいます。家が新しい内はいいのですが、何年か経つと壁には必ず小さなヒビが入りますから、少しずつ水分が壁材に染み込んでいくのです。

シロアリと同様に、腐朽も住宅にとっては身近かつ重大な疾患だということです。木材が腐朽する仕組みや要因をきちんと知った上で、万全の対策をとっていただきたいと思います。

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。