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ホームインスペクションは雨の日でも行える?

2022.12.02
鳥居

WRITER

鳥居 龍人

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て株式会社テオリアハウスクリニックに入社。前職での現場監督経験から、施工から設計まで幅広い知識と経験を持つ。現在はその経験をもとに戸建て住宅のインスペクション業務に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。

お客様からよくいただくご質問の中に「ホームインスペクションは雨の日でも行えますか?」というものがあります。

確かに雨の日に行うホームインスペクションはしっかりと調査ができないんじゃないかと思われるかもしれません。

結論からお伝えすると、雨の日でもホームインスペクションを実施することは可能ですし、しかも実は晴の日にはないメリットもあります。

しかし同時に、デメリットとまではいいませんが気をつけたほうがいいこともあります。

雨の日に行う住宅調査や内覧会の注意点、今回はそのことについて詳しくお話ししていきます。

雨の日のホームインスペクションで向上する調査精度


雨の日にホームインスペクションを実施するからこそ得られるメリットとして「調査の精度向上」があります。

建物全体が濡れた状態での調査となりますので、その分「水」に関わる指摘事項も発見しやすくなるというわけです。

いくつかの具体的な部位をご紹介します。

屋根

もし仮に小屋裏で染み跡のようなものを発見したとしましょう。

晴れた日だと染みができてから既にある程度の時間が経過していることを意味しますので、現在進行形で雨漏りが発生しているのか、過去に発生したものなのか、雨漏りとは全く関係のないものなのか、どうしても判断がしにくくなります。

その場合、木材の含水率(木材の保有つ水分量)を調べたり周辺の断熱材の状況を調査して総合的に判断するのが一般的ですが、小屋裏の調査が点検口からのぞくだけの基本的な調査ではそれも難しいでしょう。

しかし雨の日であれば、染みが雨漏りかどうかを一目で判断できる可能性が比較的大きくなりますので、結果的に調査精度の向上が見込めるというわけです。

雨樋

もう1つ指摘事項を発見しやすくなるのが「雨樋」です。

実は雨樋は新築住宅であってもジョイント部分の施工がうまくいかず、継ぎ目の途中で水が垂れてしまうこともあります。そして樋自体が非常に高い場所に設置されているので目視での確認は非常に困難です。

また付近に高い植物があると樋の中が落ち葉によって詰まることもあるため、雨が降っていれば樋の水の滴り具合で接続不良や樋の詰まりなど指摘事項の有無に気づきやすくなります。

バルコニー

バルコニーなどがある場合は床に水が溜まらないかを確認することができます。

通常バルコニーなどでは水勾配(水の流れる傾斜)が考慮されており、ドレン(排水口)に向かって水が流れて行きます。

晴れている日にこの水勾配を確認しようとするとペットボトルなどで汲んだ水を流す必要があります。

しかし雨の日であれば水の流れがひと目で分かるため手間が省けます。

床下

基礎のコンクリートを打ち継いでいるような施工をしている場合、基礎と底版コンクリートの入隅部分から水が中へ滲み出てくることがあります。

本来であれば基礎の打ち継ぎを行う場合、止水材と呼ばれる水が内部に入らないようにする材料を入れて施工されますがこれを忘れてしまったり、入れていたけど隙間が生じていたりした場合、新築住宅でも床下へ水が入ってくることがあります。

こういった事例は雨の日でなければ気付けないことが多いです。

雨の日のホームインスペクションのリスク

ここで注意しなければいけないのは、雨の日のホームインスペクションは必ずしもメリットばかりではなく、注意しなければいけない点もあるということです。

視界が悪くなる

まずは「調査で確認できる範囲が狭くなる」リスクです。

そもそもホームインスペクションは「目視可能な範囲を調査する」というスタンスで実施するものです。しかし雨の日は晴れの日に比べて視界が悪くなりがちです。

つまり、天候によって全体的に目視できる範囲が狭くなることは、そのまま調査の範囲自体が狭くなってしまうことを意味します。

あくまでもインスペクションは目視調査となるため、高所といった部分に関しては多少なりとも影響が出ることもあります。リスクとして頭に入れておくのは大事なことだと思います。

建物が汚れやすくなる

もう1つは「建物が汚れてしまうリスク」です。

こちらについては特に新築に言えることですが、外構が施工途中であったり周囲の土がまだ締固まっていないと雨の影響から土がぬかるんでいることがあります。

玄関のタイルを汚してしまったり、きれいな犬走り部分に泥の足跡がついてしまうため養生などで玄関周りが汚れないような工夫も必要となります。

雨の日に依頼主が気をつけること

ここまで雨の日のホームインスペクションについてメリットやリスクをご紹介してきましたが、ここからはもし雨の日にホームインスペクションをする場合に、依頼主ご自身が注意した方がいい点についてもご紹介させていただきます。

部屋や服の汚れ

雨天の際に内覧会を行うのであれば服装にも注意が必要です。

土壌仕上げの外構を確認後、靴だけに付着していたと思っていた泥汚れが足の裾についており玄関周りの壁についてしまった・・・という事例を見たことがあります。

室内には泥汚れなどを持ち込まないようにしましょう。

ハイヒールなどの歩きにくい靴を避け、長靴や予備の靴などを準備しましょう。やめたほうがいいのはもちろんですが、裾の長い服装にも注意が必要です。

もしバルコニーや屋上階があるようであれば、そこを歩くための靴も必要になるため最低2足は準備してあると安心です。

寒暖差

服装というところでは汚れだけでなく体温調整の面でも注意をしておいた方がいいと思います。

雨が降っていれば窓をあけることができないため夏はより蒸し暑く、冬はより寒くなる傾向にあり、寒暖差が生まれやすくなっています。

また、新築住宅でホームインスペクションを実施する場合、基本的にエアコンなどは設置されていないことが多いです。

何かしら防寒暖のグッズを持っていくことをおすすめします。

雨が降った翌日も油断は禁物

もしホームインスペクション当日が晴れだったとしても、前日に雨が降っていた場合は雨の日と同じように注意が必要です。

とくに気をつけた方がいいのは外構が土の状態で仕上げられているような住宅で、ぬかるみが発生しやすく、転倒したり服が汚れてしまうリスクが大きくなっています。

「前日は雨だったけど、内覧会の日は晴れてよかった」と特に準備をしないで物件に行くと後悔することもあるため気をつけましょう。

雨の日と同様に裾の長い服や歩きにくい靴は避けるのが無難です。

さいごに


今回は雨の日のインスペクションについてお話ししてきました。

雨の日には隠れたメリットがあることを知っていただけたのではないでしょうか。

晴れの日に比べれば周囲の確認はしにくいということはありますが、それも調査をされる人次第でどこまで丁寧に見てくれるのか差が生まれる可能性があります。

e-LOUPEでは玄関が泥などで汚れるようであれば養生を行い調査を行います。

お客様の住宅を汚すことがないようにするのはもちろんですがお客様が気持ちよく内覧会を行うためにも必要だと判断すれば玄関やポーチタイルなども養生致します。

また、屋根の詳細確認を補助する屋根カメラ用の雨カバーを準備しています。
雨の日でも変わらず精度の高い調査ができますので雨の日でもご安心ください。

どうしても視界が狭まる雨の日の調査、天候で内覧会や調査日をずらすのは難しいため、我々は雨の日でも変わらない調査を行えるように装備を整え、お伺い致します。

ホームインスペクションについてはこちらのページでも詳しく解説していますのでもし興味を持っていただけたようでしたらぜひ一度ご覧ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。