e-LOUPEの旬ネタコラム

  • 中古戸建て

ホームインスペクションを嫌がる・拒否されたら?その理由と対処法を解説!

2026.02.19
岩井

WRITER

岩井 数行

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て2010年に株式会社テオリアハウスクリニック入社。床下調査や断熱事業での現場経験を活かし、現在は戸建て住宅インスペクション事業に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。蟻害・腐朽検査士。

「ホームインスペクションを実施したいと伝えたら、売主や不動産会社から嫌な顔をされた」

最後の確認として、安心して物件を購入するためにホームインスペクションを実施したいのに、相手が渋った瞬間、「この物件、買って大丈夫?」「もしかして何か不具合を隠しているのでは?」と不安になりますよね。

ただ実際には、売主が拒否する背景が必ずしも後ろめたい理由だけとは限りません。
このコラムでは、ホームインスペクションを拒否する理由ホームインスペクションを実施しやすくするコツ拒否されたときの対処法について解説します。

そもそもホームインスペクションとは

ホームインスペクションは、住宅の劣化状況や不具合の有無を、専門家が目視や計測などで確認するものです。


重要なのは、ホームインスペクションの目的が「住宅の粗探しをすること」ではなく、「購入前に住宅の状態を把握し、安心して暮らし始めるための最終確認」だという点です。

購入後に想定外の不具合が見つかると、修繕費用がかさんだり、暮らし始めてからのストレスが大きくなったりすることがあります。こうしたリスクを抑えるためにも、購入前にできる範囲で状態を確認しておくことは大切です。

ホームインスペクションを拒否するのは違法ではないのか?

結論を先にいうと、拒否すること自体は違法ではありません

2018年の宅地建物取引業法の改正によって、不動産仲介会社に対するインスペクションの説明が義務化されました。
ここは誤解されやすいポイントなのですが、建物状況調査を含むホームインスペクションは、必ず行わなければならないものではなく、不動産販売側がホームインスペクションの存在について買主に説明する必要があるというものです。

一方で、実際に調査を入れるかどうかは当事者の合意次第で、買主が希望しても基本的には売主側の承諾が必要です。そのため、断られるケースもあります。

とはいえ、拒否されたら理由を確認し、時間や範囲など条件を調整して再度提案すれば、実施できることもあります。

point

・宅地建物取引業法改正により、不動産仲介会社にインスペクションの説明義務が課せられた
・ホームインスペクションの実施には、売主の許可が必要
・売主はホームインスペクションの実施を拒否することができる

拒否されたらやることは3つ

ホームインスペクションの実施を拒否されたときは、無理に押し切るのは最善とは言えません。
そのため、まずは以下の3ステップで進めてみましょう。

  1. 誰が拒否しているのかをはっきりさせる
  2. 嫌がっている理由を特定する
  3. 相手の拒否理由を考慮し、条件付きで再提案する

相手の事情を理解できれば、条件付きでホームインスペクションを実施できる可能性があります。

1.誰が拒否しているのかはっきりさせる

一概に拒否されたといっても、実際には誰がインスペクションに対して難色を示しているかによって、原因も対処法も変わります。
そのため、まずは「売主が拒否しているのか」、「施工店が止めているのか」、「仲介業者が消極的なのか」など、どこで話が止まっているのか確認しましょう。

point

いったん拒否された場合は、相手を責めるのではなく、落ち着いて交渉する姿勢が重要です。
まずは「誰が拒否しているのか」を確認し、その理由を確認することで、交渉の糸口を探しましょう。

2.ホームインスペクションを嫌がる理由を確認する

誰がインスペクションに拒否感を抱いているのかがわかったら、次は拒否する理由を確認しましょう。
インスペクションが拒否される背景には、相手側の事情ホームインスペクションに対する誤解などがあります。

ここではホームインスペクションを嫌がる理由として代表的なものを5つ紹介します。

①不具合を隠している
拒否の理由として考えられるのは、見つかってほしくない不具合があるケースです。

たとえば、雨漏り跡や設備の不具合、施工不良の疑いが見つかれば、値引き交渉や補修対応の話になり、売主側が不利になることがあります。そのため、インスペクション自体を断ろうとする場合があります。

もちろん、拒否したからといって不具合を隠していると断定はできません。
ただ、「拒否理由が一貫しない」「説明が曖昧」「契約を急かされる」といった状況が重なる場合は、慎重に判断しましょう。

天井の雨漏り

(写真)室内の雨漏り跡。雨漏りは構造体の耐久性に影響する。

床下の水たまり

(写真)床下の水たまり。ホームインスペクションで発覚する問題も少なくない。
②手間と段取りが増える
売主や業者(施工会社・仲介会社)にとってホームインスペクションは、立会いや鍵の手配、関係者への連絡などが増え負担に感じることがあります。内覧会と同日に行う場合は時間が延びることもあり、予定が詰まっている担当者ほど消極的になりがちです。

また、不具合が見つかれば値引きや補修の相談が必要になり、手続きが増える可能性があります。とくに想定外の不具合が出ると、施工会社では修繕手配や工程の見直しが発生する可能性があるため、実施を避けたいと考える場合もあります。

③契約が遅れて、他の希望者に取られる可能性がある
人気物件では、インスペクションの日程調整をしている間に、他の希望者に申込まれてしまうことがあります。そうなると、申し込みの順番次第では購入することができなくなってしまいます。

仲介業者側は、他の購入希望者に取られる前に申込・契約まで進めたいという事情があるため、契約までのスピード感を重視しがちです。その結果、「慎重に確認したい」という買主だと、契約までに時間がかかると受け取られてしまい、インスペクションに消極的になることがあります。

④粗探し・クレーム目的だと思っている
業者の中には、ホームインスペクションに悪い印象を持っているところもあります。
理由はシンプルで、「粗探しをされている気がして気分が悪い」「不具合があればクレームの材料にされる」と警戒しているからです。そのため、実施自体は許可しても、協力的でない対応になることもあります。

しかし、ホームインスペクションの本来の目的は、契約後のトラブルを減らすことです。
そのためこの誤解が解けると、ホームインスペクションに前向きになってくれる方もいます。

⑤過去にトラブルがあった
過去にホームインスペクションを実施して揉めた経験がある会社ほど、対応が慎重になりやすい傾向があります。

ただし、原因が売主側だけにあるとは限りません。まれに、インスペクション業者の言い方や態度が悪く、売主と買主の関係を悪化させてしまうケースもあります。

そのため、ホームインスペクションは「どこに依頼するか」がとても重要です。専門性だけでなく、説明が丁寧で、調整やコミュニケーションが円滑な業者を選ぶようにしましょう。

3.相手の拒否理由を考慮し、再提案する

拒否されたときはまず理由を確認し、「条件付きなら可能でしょうか」と再提案してみましょう。

たとえば、「忙しくて時間をとれない」と言われた場合は、

「調査時間を◯時間以内にします」
「調査範囲を目視中心に限定します」
「立会いは負担が少ない形で行います」

など、相手の負担が少ない形にあわせて提案すると、受け入れられやすいです。
相手の懸念点を解消できれば、条件付きでホームインスペクションの実施が許可される可能性があります。

ホームインスペクションを断られにくくするコツ

ここまで、ホームインスペクションが断られる主な理由を見てきました。
ここからは、ホームインスペクションの実施を断られる前に、相手の理解を得やすくするコツをお伝えします。


ホームインスペクションの許可を得やすくするには、次の5点を先に丁寧に伝えるのがポイントです。

  1. 調査の目的をしっかりと伝える
  2. 所要時間や調査範囲を提示する
  3. 費用負担者を明確にする
  4. 誰が来るのか事前に伝える
  5. 候補日を複数用意し、立会い方法を柔軟にする

この5点をあらかじめ伝えておくと、相手は「何をするのか」「どれくらい負担なのか」をイメージしやすいため、受け入れてもらえる可能性が上がります。

そのため、相手が不安に思いそうな点(時間・範囲・報告書の扱いなど)には、事前に答えを用意しておくことが大切です。
次章ではそのまま使える例文を解説します。

そのまま使える依頼文・切り返し例文

伝え方を少し工夫するだけで、相手の受けとめ方は変わります。
ポイントは、相手の立場や懸念点に合わせて言葉を選び、お互いに納得できる落としどころを作ることです。

以下に、そのまま使える例文をまとめましたので、状況に合うものを参考にしてください。

ホームインスペクションを実施したい理由について
【例文】

「粗探しではなく、購入前に状態を把握して安心したいと考えています。」
「結果をもとに、必要であれば修繕の相談をしたいですが、基本はトラブル予防のためです。」

ホームインスペクションに対して消極的な反応をされる時には、実施したい理由について説明するだけで相手の印象が変わることがあります。
引き渡し後に起こるトラブルについて不安な気持ちや、予防したいという気持ちを実例とともに伝えると効果的です。

相手の負担を減らす方法について
【例文】

「調査は非破壊・短時間で、売主様のご負担が増えない範囲で行います。」
「日程調整はこちらでも進めますので、ご負担が増えない形で進めたいです。」
「重大な指摘がなければそのまま契約を進めます。大きな点だけ整理して相談したいと考えています。」

相手が負担を感じて躊躇している場合には、相手の負担を減らせるように交渉しましょう。

中古住宅でよく断られる理由が、まだ住宅に売主が住んでいるケースです。調査の間、外部の人間が自宅内を隅々まで調査することになるため、売主にとっては大きなストレスになります。
その場合は、短時間かつ調査範囲について事前に説明し、説得する必要があります。

ホームインスペクションに悪い印象を持っている場合
【例文】

「粗探しやクレームのためではなく、購入後のトラブルを防ぐために現在の状態を確認したいです。」
「丁寧に作ってくださっているのはわかっているので、最終確認としてホームインスペクションを利用したいです。」

インスペクションに対して悪い印象を持っている業者は多くいます。特に「ホームインスペクションは粗探しだ」と思っている方も多く、そういった方の誤解を完全に解くことはなかなか難しいです。

そのため、説得のポイントはホームインスペクションの目的について伝えることです。「売主や施工業者の信用を疑うことではない」「安心して住宅を購入したい」という点を理解してもらえると、ホームインスペクションに前向きになってくれることがあります。

どうしても許可が出ない場合には、依頼を検討しているホームインスペクション業者に相談してみると、解決策を一緒に考えてくれます。

それでも拒否されたときの対処法


交渉してもホームインスペクションが難しい場合は、選択肢は大きく3つです。

  • 自分でチェックを行う
  • 引き渡し後に実施する
  • 購入を見送る

どれを選ぶかは、「この物件で譲れない条件は何か」「不具合のリスクをどこまで許容できるか」「引き渡し後の保証や契約不適合責任の期限でカバーできるか」を基準に考えましょう。

説明が不十分なまま急かされるなど、納得できない不安が残る場合は、無理に進めない判断も大切です。

対処法①:自分でチェックを行う

専門家の調査を入れられない場合は、購入前に自分で確認できる範囲だけでもチェックしておきましょう。構造の良し悪しについて判断するのは難しいですが、生活に直結する不具合は、目視や簡単な動作確認で見つけることができます

コンセント 通電するか(スマホ充電器などで確認)
換気扇 スイッチで動くか
異音がないか
水回り 蛇口の水漏れはないか
排水されるか
においはないか
サッシ・建具 開閉がスムーズか
鍵がきちんとかかるか
きしみや沈み込みがないか

チェックリストについてはこちら
内覧会のチェックリストを作成しました|e-LOUPE

対処法②:引き渡し後に実施する

どうしても購入したい物件で、かつ売主の承諾が得られない場合、引き渡し後にホームインスペクションを行うという選択もあります。
引渡し前のホームインスペクションが断られた場合に、一番多いのがこの方法です。

ただし、引き渡し後は「契約不適合責任(旧:瑕疵担保)」の扱いなど、契約書の内容が重要になります。

  • いつまで請求できるのか
  • 免責や特約はどうなっているか

こうした点を事前に確認し、引き渡し後すぐにホームインスペクションの実施をおすすめします。

対処法③:購入を見送る

最終手段として、物件の購入を見送るというのも1つの方法です。

なんの説明もなく拒否された場合、もしかしたら大きな不具合が隠れている可能性があります。特に、異常に契約を急かされたり内覧会等の時間制限が短いなど、不自然さが多数見受けられる場合は要注意です。

住宅購入は金額も大きく、住み始めてからの影響も長いものです。
「不安が消えないのに契約を急ぐ」こと自体が、将来の後悔につながりやすい点は覚えておきましょう。

特に新築の場合は、施工店とは今後も長い付き合いになります。最初のインスペクションすら拒否されてしまっては、今後の関係性にも影響が出てくることが予想されるため、その施工店から購入するのは再考すべきでしょう。

よくある質問

Q. ホームインスペクションの調査には、どれくらい時間がかかりますか?
A. 目安としては、2〜4時間程度です。建物の広さや不具合の多さにもよって調査時間は前後する可能性があります。
短時間で調査を実施したい場合には、調査範囲を限定することで、時間を短縮することも可能です。
Q. ホームインスペクションの費用は誰が支払うのですか?
A. 一般的には、依頼者(買主)が支払います。売主側が費用を負担する場合、公平性が損なわれる可能性があるため、事前に誰が何を負担し、報告書は誰宛のものになるのかなどは明確にしておきましょう。

Q. 建物状況調査とホームインスペクションは同じですか?
A. 建物状況調査は、主に中古住宅を対象にした検査です。ホームインスペクションとの違いは、資格と調査範囲です。ホームインスペクションは、建物状況調査よりも詳細な調査を行えるため、どちらか迷っている場合には、調査範囲について事前に確認しましょう。

まとめ

ホームインスペクションを嫌がったり拒否する背景には、後ろめたさだけでなく、ホームインスペクションに対する誤解や負担、過去のトラブルなど複数の理由が混ざっていることがあります。

そのため、一度拒否された時にはまず

  • 誰が拒否しているのか
  • 何を不安に思っているのか
  • 条件を提示して再提案する

の順で再度ホームインスペクションの実施ができないか交渉してみましょう。

住宅購入は人生の買い物の中でもとても大きいものです。
住み始めてから後悔しないように、建物の状況はしっかりと確認してから購入することをおすすめします。

e-LOUPEでも同様の事例はよくお問い合わせいただきます。お困りのことがあればぜひ一度ご相談ください。

屋根から床下まで診る!明快料金のインスペクション

シンプルプランで選ぶ必要なし!
Google口コミ4.9業界最高水準
床下・屋根・屋根裏の点検も実施!
創業50年、住宅を知り尽くすプロ
重厚な報告書が将来の宝に

自社社員の建築士が第三者の立場で皆様の新築・中古・自宅を調査。150を超える項目と専用の診断機器を使って家の隅々までチェックします。1974年創業、50年の歴史と7万件を超える戸建て物件の床下・屋根裏調査実績から、おかげさまでGoogle口コミ200件超4.9の高評価をいただいております。