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中古物件を買うなら必ず知っておくべき”重要事項説明とホームインスペクションの関係”

2023.02.13
岩井

WRITER

岩井 数行

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て2010年に株式会社テオリアハウスクリニック入社。床下調査や断熱事業での現場経験を活かし、現在は戸建て住宅インスペクション事業に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。蟻害・腐朽検査士。

今回はホームインスペクションと重要事項説明の関係についてお話ししていきます。

中古住宅の売買において仲介業者を介して必ず行われるのが「重要事項説明」です。

事前にホームインスペクションを実施したかどうかで重要事項説明の何が変わるのか、詳しく解説していきます。

重要事項説明とホームインスペクションの関係

住宅売買の大まかな流れ

仲介会社との住宅売買のやり取りは

  1. 媒介契約
  2. 重要事項説明
  3. 売買契約

という3つのステップで進められます。

仲介業者は買主に対し

  • 物件に関する情報
  • 取引の条件

といった”必ず説明しなければいけないと法律で決まっている項目”がいくつかあります。(宅建業法という法律に明記されています)

それを口頭で伝える場が②の重要事項説明です。

中古住宅の重要事項説明で必ず聞かれること

では、重要事項説明とホームインスペクションはどのような関係があるのでしょうか。

宅建業法には仲介業者に対し「中古住宅の売買をするときは買主にこれを話してください」と定めているものが2つあります。

それが

  • インスペクション業者を紹介できるかどうか
  • インスペクション業者の紹介を希望するかどうか

です。

媒介契約の際に仲介業者は「私たちはインスペクション業者を紹介できますがどうされますか?」と買主に聞く必要がある、というわけです。

また、この時のホームインスペクションは法律上は「既存住宅状況調査」という特別な呼び方がされます。

もし既存住宅状況調査を実施した場合、その結果が重要事項説明の場で報告されます。

既存住宅状況調査の調査項目や調査の基準は国によって定められており、調査結果の報告も国土交通省が定めた書式により行われます。

その為、既存住宅状況調査の調査内容や結果報告の書式は日本全国どこでも変わることはありません。

既存住宅状況調査はホームインスペクションの「核」

既存住宅状況調査の調査項目には

  • 構造に問題はないか
  • 雨水の浸入リスクはないか
  • 耐震性に関わる書類は残っているか

などがあります。

これらの項目はホームインスペクションの「核」とも言える部分です。

多くのインスペクション業者は既存住宅状況調査の調査項目を核として、自分達で調査内容を追加していく形でオリジナルの調査メニューを作りあげていると言っていいでしょう。

ホームインスペクションをした上で重要事項説明を受けるメリット

重要事項説明にさきがけて既存住宅状況調査を実施することには

  • 建物の大まかな状態を把握できる
  • 売買契約の交渉材料にできる
  • 既存住宅瑕疵保険への加入調査としての役割も果たせる

といったメリットがあります。

特に2020年4月の民法改正以降、契約の時に説明がなかった場所での不具合について責任を問えるケースが従来よりも多くなりました。

ホームインスペクションを実施する意義はより大きくなったと言えるでしょう。

重要事項説明を聞いても建物の詳細は分からない!?

調査と説明は別の人間

既存住宅状況調査の結果報告を重要事項説明の場で受けるにあたり、注意しておかなければいけないこともあります。

それは「重要事項説明を受けただけでは建物の正確な状況は把握できない」という事です。

重要事項説明に使われる時間は限られている場合が多く、しかも説明をしている仲介業者が自分で調査を行なったわけではありません。

報告書から得られる情報は少ない

また国土交通省が定めた重要事項説明の書式は非常に簡潔であることから

  • 具体的にどういった指摘があったのか
  • 早急な修繕は必要なのか
  • 修繕にはどの程度の費用がかかるのか

などの詳細を把握することはできません。

より満足のいく調査を実施するには?

そのことから、より正確な情報を期待してホームインスペクションを実施した人からすれば「これでは不十分だ!」と感じてしまう恐れもあると思います。

もし「建物の情報を隅々まで把握できるようなホームインスペクションをしたい」と思われているのであれば、やはり自分で納得のいくサービスを提供しているホームインスペクション業者を探して見るのが確実だと思います。

まとめ


今回は重要事項説明とホームインスペクションの関係についてご紹介してきました。

仲介業者が業者を紹介してくれるようになったことで「ちゃんとした家に住みたいけどどうしたらいいか分からない・・・」という人へのセーフティーネットが広がったと言えるでしょう。

ただし時間的な制約や書式から得られる情報に限りがあることから、「詳細な結果が分かる調査を行いたい」という方は最初から自分で探した方がより納得のいく結果は得られるのではないかと思います。

こちらのページではホームインスペクションについて詳しく解説していますのでもし興味を持っていただけたようでしたら参考にしていただけると嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。