e-LOUPEの旬ネタコラム
- 中古戸建て
ホームインスペクションが重要事項説明に与える影響とは?


WRITER
大原 卓也
一級建築士 e-LOUPEインスペクター
ホームインスペクションと重要事項説明の関係についてお調べではないかと思います。
このページではホームインスペクションが中古住宅の仲介業者を介しての売買の際に行なわれる「重要事項説明」に与える影響についてご紹介していきます。
目次
そもそもホームインスペクションとは?重要事項説明とは?
まずはホームインスペクションと重要事項説明の関係についてご紹介します。
住宅を売買する契約をする時、仲介業者は物件に関する情報や取引の条件など、買い主に伝える必要がある項目が「宅地建物取引業法(宅建業法)」という法律により決められています。それを口頭で直接伝える場が「重要事項説明」です。
住宅の売買や賃貸の契約において仲介会社とのやり取りは
- 媒介契約
- 重要事項説明
- 売買契約
の3つのステップに分かれています。
ホームインスペクションは「建物状況調査」という呼び方をされ、売買を行おうとしている中古住宅に雨漏れがないか、構造的に問題はないか、などを調べる調査で、ホームインスペクションを実施する人のことを住宅診断士(ホームインスペクター)といい、建築士の資格を持っています。
中古住宅の売買のやり取りを行うときは最初の「媒介契約」の際に
「私たちはホームインスペクション業者を紹介できますがもしよろしければいかがですか?」
という具合に
- 自分たちがホームインスペクション業者を紹介することができるかどうか
- ホームインスペクション業者の紹介を希望するかどうか
この2点を売り主(貸し主)・買い主(借り主)の両方に伝えます。売り主側の負担でホームインスペクションを行う場合もあれば、買い主側が行う場合もあります。
ホームインスペクションの結果は重要事項説明で共有される
もしホームインスペクションを実施したときはその結果を売買契約を結ぶ前の「重要事項説明」の場で報告されます。
この時、ホームインスペクションは「建物状況調査」という呼び方で呼ばれます。
ホームインスペクションの調査範囲や調査方法はインスペクション業者によりまちまちですが、共通するのは
- 建物の構造に問題はないか
- 建物に外から雨水が入ってくる心配はないか
- 建物の建築や保全に関わる書類(設計図書など)は残っているか
に関する調査・報告を行うということです。これらの項目は建物の保全の上でとても大切です。
ホームインスペクションの結果を重要事項説明の場で知ることができることは売り主・買い主の両方にとってメリットがあります。例えば買い主にとっては
- 建物を買ったり借りたりした後の生活をイメージしやすくなる
- リフォームや修繕に必要な経費を正確に知ることができる
- 保全のためのメンテナンス計画を立てることができる
- 売買契約を結ぶ際の交渉材料にすることができる
などのメリットに加え、もし「既存住宅瑕疵保険」への加入を考えている人であれば、加入のための調査をホームインスペクションと並行して行うこともできます。
また、売り主にとってみても、建物の状況を正確に伝えることで買い主とのトラブルが起きるリスクを減らせるというメリットがあります。
特に2020年4月に民法が改正されたことで、これまで買い主が住宅の不具合について責任を問えるのは床下や小屋裏などの目に見えない部分だけだったのが、法律上は契約の時に説明を受けなかった場所での不具合全般で責任を問えるようになりました。
ホームインスペクションはより重要な役割を持つようになったといっていいでしょう。
重要事項説明だけではホームインスペクションの結果は伝えきれない事も
重要事項説明で注意しないといけないことは、いくらホームインスペクションを実施したとしても「詳細な建物の状況は重要事項説明では正確に把握しきれない可能性がある」という事です。
確かにホームインスペクションそのものは、調査メニューにもよりますが、しっかりとしたものを選んでおけば基本的にはホームインスペクターによる正確な調査結果を報告書という形で知ることができます。
しかし実際の重要事項説明に使われる時間そのものが限られている事が多く、仲介業者自身が実際に正確な調査を行なったわけではありません。ですので
- 具体的にどのような被害があったのか
- 早急に直さないといけないような不具合なのか
- 修繕にはどれくらいの費用がかかるのか
など仲介業者が報告書の内容を全て正確に伝えるのは難しい場合もあるのではないかと考えられます。一度ホームインスペクションで作成された報告書を自分でしっかりと目を通すことをおすすめします。
また、万が一「建物状況調査の内容について説明を受けたがこれでは不十分だ!」と思われたときは、再度自分でホームインスペクションを検討することも選択肢の1つである事を覚えておきましょう。
まとめ
ホームインスペクションは購入予定の中古住宅がどのような状態なのかを正確に把握するための大切な方法です。ホームインスペクションを行うことで「こんな不具合があるなんて知らなかった」「予想していなかった修繕で思った以上に費用がかかってしまった」というトラブルを防ぐことができます。
もし、中古住宅の購入を検討しているのであれば、是非ホームインスペクションを活用してみてください。
「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。