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リフォームか建て替えか、最良の判断に役立つインスペクション

2022.07.29
大原

WRITER

大原 卓也

一級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築設備会社を経て、株式会社テオリアハウスクリニックに入社。2013年より住宅インスペクション事業に携わる。住宅調査以外にも、不動産会社向けセミナーや建築士対象の研修会の講師も行う。JSHI公認ホームインスペクター。ドローン操縦士。

こんにちは。e-LOUPEの大原です。

今回は「リフォームか建て替えか」というテーマでお話をしていきます。

購入時は新品のマイホームも年数を経るにつれどんどん劣化していきます。

ライフスタイルや家族構成の変化なども相まって「建て替えてしまった方がいいのかな?」と思われることがあるかも知れません。

しかし実際の立て替えるべきかリフォームで修繕すべきかの判断は意外と難しいものです。

今回はこれまで私が行ってきた調査の中で、リフォームか建て替えかの判断材料としてホームインスペクションを活用された具体的な事例をご紹介していきます。

事例①:メンテナンスを怠ったらもうダメ?

親御さんの家に一緒に暮らすことになったものの、築年数も古くこのまま住めるかどうか不安でホームインスペクションのご依頼をいただくことがあります。

「いっそのこと建て替えをしたほうがいいのではないか?」と思われているケースですね。

こういった方の共通点として、どうも過去に外壁や屋根の塗装などのメンテナンスを怠ったことから「きっと年数的に酷い状態になっているのではないだろうか?」と考えてしまわれる方が多いようです。

しかしいざホームインスペクションを実施してみると、建て替えずとも「この家はちょっとしたリフォームをすればまだまだ住めるな」という結果であることがよくあります。

例えば床が沈んで見えないところはボロボロなんじゃないかと心配の声もありますが、確認してみたところ経年劣化によってたわみが生じていただけで補強や床の張替えだけで充分ということもあります。

事例②:築年数的にもう建て替えるべき?

また、建物の価値を築年数だけで判断される方も時折いらっしゃいます。

「築年数が古いことからすでに建物に価値は無く、もう取り壊してしまおう」と考えておられるケースです。

しかし、築年数は一定の目安にはなるかも知れませんが、実際の目の前の建物の価値をそれだけで推し量ることはできません。

確かに建物を法律的な視点でみるならば木造住宅は22年で価値がゼロとなります。

とはいえ、それがそのまま建物としての寿命を終えることを意味するわけではありません。

あくまでも売却時などの資産価値として設けられている耐用年数であって、その年数を過ぎても建物の劣化状況やメンテナンス次第で問題なく住めるのです。

実際、不動産会社や建築会社が建物の価値ゼロとされた物件を綺麗にリフォームして高額で販売している例はたくさんあります。

むしろ建物の状況を明らかにすることで、価値ゼロと判断されていた物件でも値を付けて売れることは充分にあり得ます。

メンテナンスをしておけばその結果で現状問題無しというお墨付きがつきますし、仮によっぽどの問題でなく土地が良ければある程度のメンテナンスは込みとして購入されるケースもあります。

事例③:建て替えれば住みやすくなる?

ご高齢の方が家族におられると、「もう建物が古いから住みやすいように」と建て替えを検討される場合があります。

しかしもしかすると、古いのは「見た目」だけであって構造躯体はしっかりしている建物かもしれません。

使い勝手を良くするというのが目的であれば建て替えでなくても、リフォームで済むこともあります。

それに、建て替えは必ずしもいい事ばかりとは限りません。

多少使い勝手は不便であっても住み慣れた場所から離れるというのはストレスがかかるものですし、建て替えとなると解体から建築と住めるようになるまでに長期間かかります。

ホームインスペクションは、今建て替えが必要なレベルなのか、リフォームで済む話なのかの検討材料として役立つこともあります。

ちなみにですが、リフォームというと建物をスケルトンにしての大規模な工事をイメージされがちですが、目的によっては非破壊で住みながらにして改善出来る方法もあります。

例えば「この家は寒いから暖かい家にしたい・・・」というのであれば、内窓の設置や床下断熱などの比較的安価で即日完了するリフォームでも十分改善が可能です。

かかる費用や引越しにかかる手間を考えて何が最適かは充分に検討してみてはいかがでしょうか。

事例④:想定を超えるリフォーム費用・・・

反対に、リフォームを検討されている場合に、そもそもの物件の状態やかけられる費用によっては大きなリスクを背負ってしまうことになります。

以前ご相談いただいたのが、「500万円程の予算でリフォームをしようと思っている」というものでした。

外壁の劣化不具合についてはご主人も把握されており、その修繕に加えて水まわりや内装を全体的に綺麗にしても予算内で収まるだろうと計画されているようでした。

しかし実際に調査をしてみたらそれ以外にも見つかる不具合。

その物件は1980年頃に建てられており、調査をしていても現在の基準となる耐震性能が充分に確保されているような状況ではありませんでした。

基礎コンクリートに鉄筋は含まれておらず、屋根は雨漏れしているだけではなく柱にも腐朽が生じているようでした。

浴室もタイル風呂だったため、床下では腐朽がかなり進行して土台までシロアリに食害が広がっている状況でした。

状況を知って耐震性についてもご不安になられたようで、何を優先してリフォームに手掛けるのか見直すとのことでした。

リフォーム後に万が一何かが起きて、ローンだけ残ってしまうのは避けたいところです。

非常に高額な買い物になりますので、事前に建物がどういった状態なのか、しっかり把握をしておくのが無難ではないかと思います。

まとめ


今回はご自宅のリフォームか建て替えかで迷われていたお客様がホームインスペクションを有効活用されてきた事例をお話してきました。

今回ご紹介したように建て替えではなくリフォームで済むというケースも十分考えられますし、そうなった場合には本来よりも安い予算で目的を達成できるかも知れません。

もちろんホームインスペクション自体にも費用はかかります。

しかし予算全体でみた時には決して高いとは言えませんし、建物に対する建築士のアドバイスを直接聞くことができるのは長く住むための家づくりにおいて大きなプラスとなるに違いありません。

もし建て替えかリフォームかで迷った際は是非ホームインスペクションを活用してみてはいかがでしょうか。

 

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。