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「ホームインスペクションやるなら売らない」不動産会社に拒否された時の対処法

2023.03.13
岩井

WRITER

岩井 数行

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て2010年に株式会社テオリアハウスクリニック入社。床下調査や断熱事業での現場経験を活かし、現在は戸建て住宅インスペクション事業に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。蟻害・腐朽検査士。

こんにちは。e-LOUPEの岩井です。

「購入予定の物件でホームインスペクションを売主に拒否されてしまいました。どうすれば良いですか?」

今回はこのような疑問にお答えします。

対策①:他の家を買う


ホームインスペクションを拒否するのにも明確な理由をちゃんと教えてくれればいいのですが、中には理由無く断られる場合もあります。

そんな場合、何か専門家に調査されてはまずい理由が隠れている可能性がありますのでいっそ購入を諦めて別の家を検討するのも一つの選択です。

特に新築の場合、施工店とは今後長い付き合いとなるべき存在です。その様な所が最初のインスペクションを拒否するのであれば、その建物及び施工店からの購入は再考すべきでしょう。

「不動産業者(仲介業者)を変更すれば良いのでは?」と思われるかも知れませんが、結局の所インスペクションを拒否しているのは売主であり、仲介業者を変えたところで結果は同じです。

「これって普通のことなのでしょうか・・・?」

これは以前あった出来事なのですが、依頼主様である買主から私のところに「内覧会でホームインスペクションするならば1時間以内に終わらせるようにと言われたのですが、これって普通の事なのでしょうか・・・?」と相談がきたのです。

1時間ではホームインスペクションどころか、傷や汚れのチェックすらままなりません。家具を置くための寸法の計算などもあるはずです。

そもそも内覧会はただのお披露目会ではなく、買い主による「最終検査」の場です。

一生に一度しか買えないくらい高額な商品の検査を1時間で終わらせろというのはひどい話です。

ホームインスペクションを利用するのが売買契約前であれば、怪しそうな物件であった場合もサッと引き上げる事ができます。

対策②:自分でチェックを行う


自分で最低限のチェックを行って不具合の有無を確かめる方法です。

洗面所の下、キッチン周り、リビングなど、ある程度の範囲を確かめることはできるでしょう。

また、スマホ用の充電器があればエアコン用のものを除けばコンセントの通電の確認ができますし、ティッシュを使えば換気扇の吸気も確認できると思います。

ただし、建築部材や設備の破損には十分気をつけましょう。

対策③:引き渡し後にホームインスペクションを行う


引き渡し後であっても、新築住宅では売り主には構造や雨水の浸入に関する部分で10年の責任(保証)がありますし、設備や建具などにそれぞれ保証がついていることもあります。

そのため、引き渡し後にホームインスペクションを実施して、もし問題があれば後日売り主へ報告するという方法も場合によっては有効です。

ポイントは「引き渡し後の問題に対しても適切な対応をしてくれるか」を事前にしっかり確認しておく事です。

一応、宅地建物取引業法の規定では売り主は設備や建具などについて2年間の責任を負うことが求められていますが、実際の内容はまちまちです。

請負契約書・売買契約書を事前にしっかり確認しましょう。

「なぜ拒否したのか」考えれば解決する場合もある


ホームインスペクションが売り主に拒否される背景には、単に「見られたらまずいものがある」というだけでなく、ホームインスペクション自体の「歴史の浅さ」もあります。

日本でホームインスペクションという言葉がよく使われ出したのは2018年頃です。

慣れていない売り主(施工店)さんだと「自信のある建物に対してアラ探しをするのか!」というマイナスなイメージを持っている場合があるのです。

もちろん悪いのはホームインスペクションを理解していない方です。

「いい家を建てたという自信があるのなら堂々としてくれていればいいのに・・・・」とは、私もよく思う機会があります。

少し面倒かも知れませんが、ただ「ホームインスペクションしたい」と一方的に言うよりも、「きちんと記録を残して資産価値が落ちないようにしたい」など、伝え方に配慮してあげましょう。

同じことを言っていても結果は大きく変わるものです。

まとめ


今回は「ホームインスペクションの実施を売り主に拒否された時どうするか」というテーマでお話をしてきました。

「住宅の不具合に気づかれたくない」という場合もありますがホームインスペクションを粗探しのように解釈してしまって態度を固くしてしまっている場合も十分考えられます。

やはり拒否されないのが一番望ましい事ですので、「ホームインスペクションはまだまだ歴史が浅い」ということを頭の片隅に置いた上で、伝え方に配慮しながら交渉を行ってみてください!

その際はこちらのページでホームインスペクションについてより詳しく解説していますので参考にしてみるのもいいかも知れません。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。