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建物の「図面」何が分かるの?ホームインスペクションのプロが解説

2024.07.19
鳥居

WRITER

鳥居 龍人

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て株式会社テオリアハウスクリニックに入社。前職での現場監督経験から、施工から設計まで幅広い知識と経験を持つ。現在はその経験をもとに戸建て住宅のインスペクション業務に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。

皆さんは住宅を購入するときに何を確認しますか?

間取り、ある程度の部屋の広さ、なんとなく住み始めたあとの動線…など、知りたいことがたくさんあるのではないかと思います。

しかし注文住宅と異なり、一般の新築建売や中古住宅では購入前に詳細な情報を知ることはちょっと難しいかもしれません。

でも図面を見れば大丈夫。

図面には建物のあらゆる情報が記載されており、うまく活用すれば購入前の不安を解消したり購入後のトラブルを避けることもできます。

今回はそんな図面を読み解くためのポイントを詳しくお話しします!

住宅購入で確認しておきたい図面

図面と一言で言っても様々な種類がありますが、住宅購入の際に確認しておきたいものとしては

  • 平面図
  • 立面図
  • 配置図
  • 基礎伏せ図
  • 矩計図
  • 仕上げ表

などが挙げられます。

平面図


最もよく見かける図面では無いでしょうか。

建物を横にスパッと切り、それを上から見ている図面。それが平面図です。

不動産屋に行ってよくガラスに張り出されている間取り図も平面図の一種です。

平面図を見れば主に

  • 家のどこに何があるか
  • 部屋の大まかな形

がわかります。その他としては

  • 部屋の広さ
  • 室名
  • 用途
  • 換気扇の位置・方角

などもわかります。

そのことから、住み始めてからの動線確認家具の配置確認に非常に役立ちますし、建物引き渡しの際の施主検査ではチェックリストとしての役割も果たしてくれます。

また、平面図に記載されている内部の柱の位置についての情報は、棚を増設したり間取りを変更したりといったリノベーションでの適切な計画立てには必要不可欠です。

とても万能な図面なので末永く大事にお付き合いしたいですね。

立面図


立面図は建物の外観を東西南北の方向から見た図面です。

屋根の位置や玄関や窓の位置がわかるほか、建物の大きさや外壁の使用材料なども記載されているかと思います。

3階建ての建物であれば消防上、脱出できる窓(避難経路)が定められている為、そのための進入口も記載されています。

そういった進入口前には物は置かずに安全に避難できるようにしておきたいですね。

配置図


配置図には建物を含め植栽や車庫、敷地の高低差といった土地の配置が記載されています。

また、どこまでが自分の土地なのかを示す敷地境界の位置や箇所なども記載されており、売却の際や土地の問題で紛争が起こった際にはとても重要な情報となります。

配置図には建物によっては外構で使用されているフェンスや擁壁の仕様や前面道路が何メートルあるのかなども記載されている場合があります。

ちなみに前面道路が絡むと何かとややこしい話になることが多く、たとえば建て替え等を行うのであれば全面道路が2m以上でなければ再建築ができなかったり、前面道路が私道だった場合は工事の際に道路の持ち分があるかないかで揉めることもあります。

詳しく土地のことを知りたいのであれば仲介業者や地場の不動産業者へ確認してみましょう。

基礎伏せ図


基礎がどのように配置されているかが描かれています。

床下空間は室内同様に基礎で区切られていることが多く、仕様によっては床下への入口が複数箇所あったり、階段裏に入れるメンテナンス用の点検口が記載されていることもあります。

構造上大切なホールダウン用ボルトアンカーボルトの位置、底版や基礎幅などの情報が含まれています。

また、基礎を真横から見た図を「基礎断面図」といい、別紙で渡されることがありますがこちらは基礎内部の配筋の種類やピッチ、地盤からの高さや底版の配筋について書かれています。

この配筋のピッチ関連は施工途中の鉄筋がむき出しの状態であれば目視で確認できますが、施工後や引き渡し前の場合は金属探知機(鉄筋探査機)などを使用しなければ図面通りに施工されているかがわかりません。

住宅調査の際に指摘となりやすく、構造を支える部分のためこれら基礎の図面の重要度は高めだと言えるでしょう。

矩計図


くけいず?いえ「かなばかりず」と読みます。

初めてみたときは全く読めませんでした…

建物を縦にスパッと切った図面で屋根や外壁、基礎などの建物の主要部に関する情報がまとめられており、その建物の品質を示す上で非常に重要となる書類です。

下地や仕上げ、通気、防水、防湿、断熱などの情報を読み取る事ができます。

しかし実際の建物に即した図面というよりは一度作成した図面の文字のみを変えていることが多く、ここにはこれを使っていますという建物の大まかな仕様説明書のような位置づけです。

耐火構造や準耐火構造の建物であれば、火の延焼を抑えるためにより防火に力を入れた仕様になっていることなどが確認できます。

仕上げ表(仕様書)

建物に使われている基礎や壁などの材料や工法などに加え、床下や天井の断熱材の厚みなどの情報が記述されています。床下や天井裏、壁の中など、見た目だけでは分からない部分の情報も含まれており、重要な書類の1つです。

これは上記の矩計図よりも詳細に使われているものの情報のみが記載されており、製品を交換する際に今までどういう物を使用していたかがこれを見ればすぐにわかります。

今ではもう使われていませんが、アスベスト(石綿)を含んでいる材料が使用されているかどうかもこの仕上表に記載されていることがあります。

またアスベスト含有材料がもし使用されていたとすれば、含有材料を解体する際には専門の解体業者に依頼する必要などがあるため余分な費用がかかってしまうかもしれません。

中古住宅の仕様書をみると「えっ、こんな材料使っているの?」と驚く仕様になっていることがあるので注意が必要です。

図面は建物の修繕にも役立つ

建物は経年による劣化でいずれは部材や設備の修理・交換を行わなければいけなくなります。しかし大規模な工事を行う際には必ず設計図面が必要となります。

中古住宅を購入する際はリフォームを計画されている方も多いと思いますが、思った通りのリフォームを問題なく実施できるのか判断する上で非常に重要です。

経験のある大工さんであれば図面がなくともなんとかなる場合もありますが昨今は慢性的な職人不足に加え、新しい職人が育ちきっていないまま棟梁として施工を行っている場合が稀にあります。

職人さんの「大丈夫、大丈夫!」を鵜呑みにしてしまうと本来必要であるはずの耐力壁を取り除いてしまうなどのリスクがあるため、十分な情報が手元にないままリフォームを行うのは非常に危険です。

図面はホームインスペクションの精度にも影響


住宅を購入、検討している際にホームインスペクション(住宅調査)を検討される方が増えてきています。

ホームインスペクションではこちらのページで紹介しているような調査を行いますが、これらは設計図面をもとに行われます。

そのことから、資料の有無が調査結果にも影響を及ぼすことが考えられます。

設計図面が手元にあればそれだけ診断精度を上げることができるので、ホームインスペクションの際はご用意いただくことをおすすめします。

中古住宅や自宅調査といったケースでは全ての図面を取り揃えるのは難しい場合も考えられますが、その場合はせめて平面図だけでも確保しておきたいところです。

まとめ

図面は購入したあとのライススタイルの確認のほか、建物の仕様の判断、更にホームインスペクションを行う上でも非常に重要な書類です。

特に中古住宅を購入する際は、これらの書類を売主が保管しているか事前にしっかり確認しておくことをおすすめします。

また売却のことを考えるのであればしっかりと図面は保管しておきましょうね。

設計図面を読み取ることで、実際にその住宅に住み始めてからの日常生活のイメージを格段に広げることができます。

専門家以外でも多くの情報を得ることができるので、積極的に目を通すようにしましょう。

 

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。