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ホームインスペクションの結果はどう見る?報告書の正しい読み方と判断基準
WRITER
鳥居 龍人
二級建築士 e-LOUPEインスペクター
新築でも施工ミスは起きるのか?実際の事例から見る注意点住宅の購入を考えたとき、一度は「欠陥住宅だったらどうしよう」と不安になる方も多いのではないでしょうか?
近年ではテレビSNSなどの情報から、住宅の施工不良や管理の甘さを目にする機会も増加しているため、なおさら心配になりやすいかと思います。
実際、ホームインスペクションを受けたあとに報告書を見て、「こんなに指摘があるってことは、危険な家なのでは?」と不安になる方も少なくありません。
しかし、ホームインスペクションの結果は、単純に「良い家」「悪い家」を判定するものではありません。大切なのは、指摘の数ではなく内容を正しく読み取り、その後どう行動するかです。
このコラムでは、ホームインスペクションの結果を受けて、調査結果の正しい見方からその後に行うべきことまでわかりやすく解説します。
目次
ホームインスペクションの結果はどう伝えられる?
ホームインスペクションの結果は、一般的に口頭での説明と書面(報告書)の両方で伝えられます。細かな運用は会社によって異なりますが、多くの場合、この2つが基本です。
それぞれ役割や伝わり方に違いがあるため、どのような内容がどのタイミングで説明されるのかを理解しておくことが重要です。ここでは、口頭説明と報告書それぞれの特徴について整理していきます。
口頭での説明
調査当日や調査後には、ホームインスペクターから口頭で結果の説明を受けます。
その際、スマートフォンやタブレットで撮影した写真を見せながら、

「このひび割れは表面的なもので、緊急性は高くないです」
「この部分は少し傾きがあるが、現時点で構造上の重大な問題とはいえません」
「ここは早めに補修を検討することをおすすめします」
といった形で、実際の状態をその場で確認しながら、「どこに不具合があるのか」「どのような対応をすべきか」について説明を受けられます。
口頭での説明の大きなメリットとしては、その場で疑問点や不明点を質問できるところです。文章だけでは伝わりにくい細かなニュアンスも確認しやすいため、不安の解消につながりやすいという特徴があります。
また、売主や施工会社の担当者が同席している場合は、見つかった不具合について直接説明してくれるため、その場で是正対応まで進めやすくなるというメリットもあります。
できる限り当日は関係者とともに立ち会うことをおすすめします。難しい場合は、結果をまとめたものをその日のうちに業者と共有することで、対応がスムーズになることがあります。
書面(報告書)での説明
調査終了後は、数日以内に報告書が紙媒体やPDFなどで届きます。
報告書には、一般的に次のような内容がまとめられます。
- 指摘箇所の拡大写真
- 建物全体の中でどの位置かがわかる写真
- 図面に記した位置情報
- 部位ごとのコメントや評価
口頭であった説明についてあとから見返せる大切な記録ですので、同席できなかった家族への説明や、メンテナンスが必要になった際の原因を究明する時の参考としても役立ちます。
ここで重要なのは、報告書は「良い・悪い」の合否判定ではないということです。あくまで「現時点での建物の状態」を客観的に記録した健康診断結果のようなものと捉えてください。
検査会社によって内容に差がある
同じホームインスペクションでも、検査会社によって報告の詳しさにはかなり差があります。
たとえば、法定の建物状況調査に近いものであれば、短時間の目視中心としたチェックシート形式の簡易的な報告にとどまる会社もあります。一方で、床下や屋根裏まで確認し、多数の写真と詳しい解説を添えた独自の詳細な報告書を作成する会社もあります。
| 簡易型 (法定の建物状況調査に近いもの) |
目視中心の短時間調査 + チェックシート中心のシンプルな報告書 |
【特徴】 ・簡潔な口頭説明 ・費用は比較的安い |
|---|---|---|
| 詳細型 | 建物状況調査の項目、床下・屋根裏進入調査、機器測定などを含む調査 + 写真と解説が記載された30ページほどの詳細な報告書 |
【特徴】 ・生じている不具合の程度や修繕目安、優先的に手を付けた方がいい箇所などアドバイスが記載 ・簡易型と比べると費用は3~5万円ほど高い |
調査会社によっては、口頭説明を重視する会社もあれば、書面中心で結果を伝える会社もあります。
そのため、依頼前には
- どの範囲まで調査するのか
- 報告書はどの程度詳しいのか
- 写真はどれくらい添付されるのか
- 調査後の説明はあるのか
を確認しておくことが大切です。
ホームインスペクションの報告書は、単なる結果通知ではなく、今後の対応方針を決めるための資料です。費用だけで比較するのではなく、自分が判断しやすい報告形式かどうかまで確認して選ぶことをおすすめします。
報告書に記載される不具合の程度
報告書内に記載されている不具合に関して、「どの程度の劣化事象なのか」が解説だけでは判断しづらい箇所もあるかと思います。
そこでe-LOUPEでは、一目でわかるような判定基準を設けています。
| 評価 | 内容 |
|---|---|
| A:異常なし | 目視の範囲で特に問題となる箇所は確認されませんでした。 |
| B:経過観察 | 今後の動向に注意が必要です。本点検後、状況に変化が無いか定期的な観察をおすすめします。 |
| C:補修推奨 | ある一定の劣化、不具合が確認されました。状況が悪化しないようメンテナンスをおすすめします。 |
| D:早急な対応が必要 | 明らかな問題が確認されました。状況が悪化しないよう、早期の対応をおすすめします。 |
このように区分することで、指摘の優先度をわかりやすくしています。
一方で、区分がない報告書は内容を判断しづらく、専門的な知識が必要になることもあります。
そのため依頼前に報告書のサンプルを確認し、「自分でも理解しやすいか」という点も含めて比較しておくことが大切です。
ホームインスペクションの結果でまず見るべきポイント
ホームインスペクションの現場では、新築でも中古でも何らかの指摘が見つかることが珍しくありません。実際、まったく何も指摘がない住宅のほうが少ないといっても良いです。
そのため、届いた報告書は「指摘の数」ではなく「指摘の内容」を最優先で見てみましょう。
その際重要なのは、その不具合が生活や安全に影響するかという観点です。
| 優先度が低い | 優先度が高い |
|---|---|
| ・壁紙のめくれ ・軽いチョーキング ・玄関タイルの軽微な浮き など |
・雨漏れ ・構造に関するひび割れ ・給排水の不具合 など |
たとえば、細かな仕上げの不具合が複数ある場合よりも、
- 雨漏りの疑い
- 構造に関する事象
- 給排水の不具合
といった指摘が1つでもあるほうが、優先度は高くなります。
指摘事項はどう判断する?3つの考え方
ここまでは、ホームインスペクションの結果や報告書の内容について解説してきました。
この章では、指摘された不具合についてどのように判断すればよいのかを分かりやすく整理していきます。
早めに対応したい指摘事項
まず最初に優先したいのは、安全性や建物の耐久性に関わる指摘です。
たとえば、
- 雨漏りや漏水の疑いがある
- シロアリ被害の可能性がある
- 手すりのぐらつきなど転倒リスクがある
- 構造部に明らかな異常が見られる
これらの指摘は、可能な限り購入前に売主に修繕を依頼したい内容です。
安全性や建物の耐久性に関わる指摘は、修繕に時間がかかるものや、根本的に直すのが困難なものなどは、後続的にトラブルとなる可能性が非常に高くなります。報告書の結果のほか、施工店とのやり取りなども含めて全て残しておきましょう。
新築や引き渡し前であれば、補修を依頼しやすいタイミングでもあります。
経過を見ながら判断できる指摘事項
次に、現時点ですぐ大きな問題になるわけではないものの、今後の変化を見ていきたい指摘事項があります。
たとえば、
- 建具の僅かながたつき
- 軽微なビスの浮き
- 仕上げ材の小さな隙間
などです。
これらは緊急性が低いことが多く、住みながら様子を見る判断で問題ない場合があります。
様子を見る際は、定期的に写真を撮って変化を確認すれば十分です。新築であれば依頼すれば直してもらえることも多いですが、気にならない程度であれば、無理に対応せず様子見でも大きな影響はありません。
将来のメンテナンスとして考える指摘事項
今すぐ修理する必要はなくても、将来的に交換や修繕が必要になる項目もあります。
たとえば、
- 外壁や屋根の劣化の兆候
- 設備機器の作動時の異常
- 防水層やシーリングの劣化傾向
- 塗装面の色あせやチョーキング
といった指摘です。
これらは緊急の不具合というより、今後の維持管理に備えるための情報です。
5〜10年以内に必要になりそうな工事や費用を見通せるため、修繕の優先順位や資金計画を立てやすくなります。
判断が難しければ、調査後の口頭説明時にでも優先的な箇所からインスペクターに確認してみましょう。
「問題なし」と書かれていれば安心できる?
報告書に「指摘事項なし」「問題なし」「良好」と書かれていると安心しがちですが、実は絶対に安心とは言い切れません。
ホームインスペクションは、目視を中心とした非破壊検査です。そのため、壁の内部や天井裏の奥、設備内部などは確認できない場合があります。
つまり「問題なし」とは、調査時に確認できた範囲で大きな異常が見つからなかったという意味であり、建物の状態を完全に保証するものではないという意味が含まれています。

また、調査の質は会社や担当者の経験・知識、確認範囲によって差が出るため、同じ症状でも評価が分かれることがあります。
たとえば、例えば住宅にシロアリ被害が生じていたとしても、それが本当にシロアリなのかを判別するためには経験や知識が必要となります。
そして一番気にしたいポイントとしては、その調査がどれだけ第三者として中立的に行われているかという点です。
売主や施工会社と利害関係のある立場で実施された場合、指摘の重さや表現に偏りが出る可能性も否定できません。実際に弊社でも、不具合を指摘した際に「問題ないと書いてほしい」と依頼されたケースがありました。
したがって結果を見る際は、「問題なし」という表現だけで判断するのではなく、
- どこまで調査されているのか
- 写真や説明が十分か
- 調査が第三者として中立的な立場で行われているか
といった点を確認することが重要です。
ホームインスペクションの結果をどう活かすべきか
ホームインスペクションの結果は、見て終わりではありません。大切なのは、その内容を今後の住まいづくりにどう活かすかです。
ここではホームインスペクションの結果を活かす2つのポイントについて解説します。
①是正工事が必要かどうかを判断する材料にする
報告書は、補修や是正工事の要否を判断するための根拠になります。
特に以下の3点について、売主や施工会社に対応を求めるか判断するうえで重要です。
- 安全性に関わる不具合
- 雨漏り・漏水につながる不具合
- 引き渡し前に是正しておきたい不具合
第三者の報告書があれば、感覚ではなく客観的な資料に基づいて交渉できます。言い出しにくい点も、専門家の記録が後押しになります。
②今後のメンテナンス計画に活かす
ホームインスペクションの価値は、今すぐ直すべき箇所を見つけることだけではありません。
現時点では様子見で大丈夫な指摘であったり、数年後に対応を考えればよい項目など、将来の維持管理計画に活かせる重要な情報です。
たとえば、
- 外壁や屋根はいつ頃メンテナンスが必要になりそうか
- 設備の交換時期が近いか
- 防水やシーリングに注意が必要か
を把握しておけば、急な出費に慌てにくくなります。
③不要な工事提案を見極めやすくなる
専門家視点の報告書があることで、後から受ける工事提案の妥当性も判断しやすくなります。
特に昨今では飛び込み営業で不要な工事を提案する悪質な業者が増えています。インスペクションの結果があれば、飛び込み営業の業者に言われたことを鵜呑みにせず、
- 本当に今必要な工事なのか
- 以前の指摘と関係があるのか
- すぐ対応すべき内容なのか
について落ち着いて考えやすくなります。
つまり報告書は、不具合の記録であると同時に今後の判断軸になる資料でもあるのです。
結果の判断に迷ったとき、相談できる相手とは
ホームインスペクションの報告書を見ても、
「どこまで気にすべきかわからない」
「売主に伝えるべきか迷う」
「本当に修繕が必要なのか判断できない」
ということがあったときに相談する相手はとても重要です。
売主や施工会社であれば、建物の状況を把握していたり、補修の実務を担ったりする立場ではありますが、相手はあくまで売る側・建てた側でもあります。
そのため、指摘内容によっては、こちらが重く捉えている不具合であっても軽く扱われる可能性もあります。
判断に迷ったときに最も安心できるのは、売る側でも直す側でもない第三者の専門家に相談することです。
具体的には、ホームインスペクションの実務経験がある建築士や第三者検査機関などが相談先になります。
こうした専門家であれば、
- この指摘はどの程度の重さなのか
- 何を優先して対応すべきか
- すぐに工事が必要なのか
- 費用感はどの程度か
といった点を、比較的中立的に整理しやすくなります。
相談先を選ぶときのポイント
・建築士などの資格を持っているか
・実際に多くのホームインスペクション(住宅調査)を行っているか
・報告書の読み解きや優先順位の説明に慣れているか
・工事受注だけを目的としていないか
ホームインスペクションの結果は、専門用語や表現が多く、一般の方には判断しにくい。だからこそ、不安をあおる人ではなく、内容を整理してくれる人に相談することが大切。
まとめ
ホームインスペクションの結果を受け取ったときは、指摘が多いこと自体に不安を感じやすいものです。
しかし、重要なのは数ではなく内容です。
ホームインスペクションの結果は、以下の流れで読み取ることで、住まいを守るための判断材料にすることができます。
- 安全性や構造に関する不具合など、優先度の高い指摘を確認する
- 指摘事項を「早めに対応」「経過観察」「将来のメンテナンス」に分けて整理する
- 「問題なし」という表現も、確認範囲や調査の質まで含めて判断する
- 結果は補修交渉や今後のメンテナンス計画に活かす
- 判断に迷うときは、中立的な第三者へ相談する
また、これからホームインスペクションを依頼する方は、事前に報告書のサンプルを取り寄せ、
- どの程度詳しく記載されているか
- 写真や説明は十分か
- 自分にとって理解しやすい形式か
を確認しておくと安心です。
ホームインスペクションは、その結果をどう読み取り、どう活かすかで住まいの安心感が大きく変わります。ご不安な点があれば、ぜひ専門家へご相談ください。
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