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ホームインスペクションに必要な資格とは?依頼先を決める基準をご紹介

2021.10.08
大原

WRITER

大原 卓也

一級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築設備会社を経て、株式会社テオリアハウスクリニックに入社。2013年より住宅インスペクション事業に携わる。住宅調査以外にも、不動産会社向けセミナーや建築士対象の研修会の講師も行う。JSHI公認ホームインスペクター。ドローン操縦士。

「ホームインスペクションをお願いしようと思うのですが、何か特別な資格はありますか?どんな人にお願いすればいいですか?」

こんにちは。e-LOUPEの大原です。今回はこのような疑問にお答えします。

建物を見てもらうのであればちゃんとした資格を持っている人の方がいい、そう思う人が大半ではないかと思います。

実際、私もお客様から「建築士の資格は持っているの?」と聞かれることがよくあります。

しかし実は、ホームインスペクターに関する資格は建築士だけではありません。今回は「ホームインスペクター」としての実力の裏付けとなる資格についてご紹介していきます。

ホームインスペクションに関する資格は3つ

ホームインスペクションに関係のある資格としてまず挙げられるのは

  • 建築士
  • 既存住宅状況調査技術者

の2つです。ホームインスペクションといってもその位置付けは様々です。その中でも建物を売買する際のホームインスペクションは「重要事項の一部」という扱いになります。

重要事項の一部であることを証明するためのホームインスペクションにはこれら2つの資格を持っている必要があります。

また、取得が必須という訳ではありませんが、ホームインスペクションをお願いする際の安心要素となる資格として

  • ホームインスペクター

があります。これら3つの資格について詳しくご紹介していきます。

建築士
建築士はホームインスペクターとして取得が必須条件としてあげられます。

建築士の資格を取得するには、建築に関わる様々なカリキュラムが学べる学校、大学や専門学校に通い受験資格を得た後に試験に合格する必要があります。

ちなみにホームインスペクションを業務として行える建築士には一級建築士と二級建築士があります。

「一級建築士と二級建築士の違いは何?」と思われるかもしれませんが、大まかに言えば「取り扱える建物の規模や用途の違い」です。

二級建築士の場合は木造住宅、鉄骨などの家屋でも階数、高さ、面積の制限があります。一級建築士は大規模な建物を取り扱うのに必要となります。

いずれも、学ぶことは建築に関する法律、構造や施工に関することとなりますが、インスペクションとしてみると、建築の範囲は広いため割と新しく生まれた「インスペクション」については建築士を取得する過程で具体的に細かく学ぶ機会はほとんどありません。

既存住宅状況調査技術者
中古住宅の売買時に取り交わされる重要事項には「建物状況調査」という項目が記載されます。

この項目には、

  • ホームインスペクションを実施したかどうか
  • もし実施した場合、どのような結果だったのか

の情報が載せられます。

ここでのホームインスペクションを行うには「既存住宅状況調査技術者」の資格者である必要があります。

とはいえ、既存住宅状況調査技術者であるための条件は、定期的に開催される講習会への参加・登録のみとなりますので、比較的敷居が低い資格であるといえます。

ホームインスペクター(住宅診断士)
ホームインスペクター(住宅診断士)はJSHI(日本ホームインスペクターズ協会)により認定される資格です。住宅を調査する時はどのような場所を見るべきか、など住宅診断についての知識を持っているかどうかを証明するための資格になります。

ちなみに、ホームインスペクション・住宅診断についてはJSHI以外にも独自の資格を用意している団体がいくつかあります。また、いずれもJSHIと同様に国家資格ではなく、取得も必須ではありません。

とはいえ、ホームインスペクションを行う人間であれば、ホームインスペクションに特化した資格を保有しているか確認はしておきたいところです。なぜなら、その他の資格はホームインスペクションの実務に特化したものではないからです。

建築士は、建物全般に関する内容を取り扱いますので、そこまで本格的な実務に踏みこんな内容ではありません。また、既存住宅状況調査技術者はホームインスペクションの講習ではありますが、1日のみの講習で取得できます。

一方ホームインスペクターは、インスペクションについてのより実務的な知識や調査の判断が問われる試験です。しかも取得には試験を受ける必要があり、長い期間しっかりと勉強をした人しか合格することはできません。

そのため、この資格を持っているとインスペクションにおいて、実践的な点で一定の基準は満たしていると言えます。

ホームインスペクションで資格は「足切り」

ここまでホームインスペクターが保有する資格についてご紹介してきました。とはいえ、では資格を保有している人であれば無条件に信頼しても大丈夫なのかというと、残念ながらそうとは言い切れません。

理由は2つあります。

1つ目の理由は、自分の立場を悪用して不正なホームインスペクションを実施するケースがあるからです。これは実際に海外では社会問題として取り上げられるまでに発展しました。

「建築士だから」
「ちゃんとした資格を持っているから」
「しかも値段も格安でお得そうだ」

こういった理由だけを見て選んでしまうのはリスクがあるということを覚えておきましょう。

2つ目の理由は、たとえ資格を保有していても調査の「実績」がなければホームインスペクションの品質は落ちてしまうからです。

資格を取得するための勉強と、実際にホームインスペクションをする中で手に入れた知識や経験とは異なります。体の動かし方や指摘事項が多い場所などは、体で覚えていく要素が強いからです。

これらのことを踏まえると、ホームインスペクターにとって資格を持っているかどうかはあくまでも「足切り」であり、必要最低限の条件であることが言えます。

ホームインスペクションで資格よりも大事なもの


では、ホームインスペクションにおいて資格よりも大事なものが何なのかというと

  • 実践的な知識の有無
  • 信頼の透明性

の2つです。

実践的な知識の有無
いくら資格を保有していても実践的な知識を持っていないと、品質の高い調査を行うことはできません。

その調査会社がどれくらいの経験を積んでいるかは、目に見える資格と異なって見分けるのが難しいです。とはいえ、手がかりは存在します。

それは、その調査会社がどのような情報発信をしているかです。基本的な情報だけでなく、実際に現場で身につけた知識を語ってくれているかどうかを知ることができます。HPやYouTubeなどがあるかどうか、もしあるのであればどのような発信をしているのか、チェックしてみましょう。

また、それぞれの会社に問い合わせをしてみて、ご自身の不安に対して親身になって相談に乗ってくれるのか、そういった見方で比較してみるのもいいと思います。

信頼の透明性
権威のある肩書きを利用して買主を無条件に信頼させようとするケースには注意が必要です。「本当に信頼できる調査会社かどうか」という視点を持つことが大切です。

インスペクションの精度において信頼できる会社かどうかを見極めるポイントとしてまず挙げられるのは、実際に調査に来てくれるホームインスペクターの顔や名前をはっきりと知ることができるかどうかです。

場合によっては外部へ委託しており、実務経験が無い・・・なんてことがあるかもしれません。どのような人が対応してくれるのか情報が開示されているかも判断のポイントになります。

それに加え、これまで何軒くらいのホームインスペクションを行ってきたのか、お客さんの口コミ・レビューがどれくらいあるのか、なども判断のポイントになります。

また、そもそもなぜ不正が起きるかというと、「仕事をくれている人間への忖度」をしているからです。買主自身の手で調査会社を探し、依頼をすることも非常に効果的な対策となります。

まとめ

今回はホームインスペクションの資格についてご紹介してきました。

資格を保有しているかどうかはもちろん大切なポイントです。しかしそれ以上に重要なのは経験・信頼の裏付けがあるかどうかです。

「資格を持っているから安心」ではなく、その上でどのような調査をしてくれるのかという発想を持っておくようにしましょう。

 

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。