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ホームインスペクションの費用負担は「売り主側」に潜むリスク

2020.08.17
大原

WRITER

大原 卓也

一級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築設備会社を経て、株式会社テオリアハウスクリニックに入社。2013年より住宅インスペクション事業に携わる。住宅調査以外にも、不動産会社向けセミナーや建築士対象の研修会の講師も行う。JSHI公認ホームインスペクター。ドローン操縦士。

ホームインスペクションを依頼する場合、その費用は安くても4万円、調査内容によっては10万円を超えることもあります。物件の購入を検討している時、売り主さんから

「この物件のホームインスペクションの費用はこちらで負担しますよ」

という提案を受けたとすれば、喜んで受け入れるのではないでしょうか。

しかし、ホームインスペクションの費用負担を売り主側が受け持つことは「必要な経費を相手が払ってくれる」という事だけではなく、もっと大きな意味合いも含まれています。それは、買い主が自分で費用を負担するホームインスペクションよりも調査結果の信頼性を下げてしまうリスクです。

この記事では、ホームインスペクションの費用を買い主に負担してもらうとなった際に注意すべきポイントについてご紹介していきます。

費用の負担先でホームインスペクションの「第三者性」が揺らぐことも

確かにホームインスペクションの費用を売り主が負担してくれると、それだけで出費が抑えられるので「お得」に感じることができるかも知れません。

しかし注意しなければいけないのは、ホームインスペクターが「どういった立場で」調査に来ているのかという点です。もし売り主が「依頼主」であった場合は、ホームインスペクションを実施してその物件に不具合が見られたとしても依頼主である売り主は立場上「今回指摘事項が見受けられた事については内緒にしていて欲しい」とホームインスペクターにお願いをすることもできてしまいます。

実際に海外では、不動産業者とホームインスペクターが癒着して宅建業者が報告書の内容を改ざんさせてしまう事例が多発し、ホームインスペクションを実施したところでその内容は信憑性に欠けるとして社会問題となりました。

一応国土交通省により策定された「インスペクションのガイドライン」には「客観的、誠実に取り組み、公正なインスペクション業務の実施に努めること」とされていますが、日本でも、かつて海外で発生した同様の問題が起きるのでは?と、懸念の声が挙がっています。

海外では過去に起きたホームインスペクションにまつわるトラブルから、地域によっては売り主側のホームインスペクションが禁止となっているケースもあります。もちろん悪質な業者ばかりというわけではありませんが、こういったリスクがあることは覚えておいて損はないと思います。

負担した費用によってホームインスペクションの「調査範囲」が異なる


もし売り主側にホームインスペクションの費用を負担してもらう際にもう1つ気を付けなくてはいけないのは「どういった範囲の調査を行うのか」を事前に確認しておくべきだという点です。

ホームインスペクションの調査項目としてはガイドラインに構造や雨水の侵入に関する必要最低限の調査内容が定められていますが、床下や小屋裏などの建物の保全の上で重要な範囲に関しては「点検口からの目視」にとどまっており、目視できない範囲に関しては調査の対象外つまり「見えない場所は指摘事項があるのかないのかわからない」ということになります。

通常ホームインスペクションの実施会社はこういった場所に関してもより確実に安全であるということを確かめたい場合はオプションサービスで進入調査を追加するという方式を取っています。事前にどのような調査範囲でインスペクションを実施するのかしっかり確認しておくことが重要です。

不安であれば買い主が費用を負担するホームインスペクションを行おう


これらの注意点への対応策は様々ありますが、やはり一番確実なのは買い主側が費用を負担する形でホームインスペクションを実施していただくことではないかと思います。

ホームインスペクションの費用を自分で負担をすると金銭的な出費額は増えてしまいますが、報告内容に関する信頼性がより確かなものになる、万が一不具合が見つかり「物件の購入はやっぱり見送りたい」となった場合に素早く切り替えができる、というメリットがあります。

もちろん、良心から負担を考えてくれている売り主さんもおられるので一概に「絶対にホームインスペクションは買い主負担で行うべきだ」とは言えませんが、いずれにしても住宅は一生に一度と言われるほど高価な買い物となりますので、後で後悔することがないようにしっかりと「この家ならば大丈夫だ」という裏付けをもった上で購入に踏み切るのが理想ではないかと思います。

e-LOUPEでも内覧会への立ち合いだけではなく、「物件の購入に踏み切ろうかどうか迷っているので一度相談させてほしい」「ホームインスペクションをお願いしたい」といったご相談も問い合わせフォームにて何時でもうけつけております。もしご興味のある方は下のボタンから入力フォームに移動できますので何時でもご相談ください!

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。